「授業中は音読も挙手もできない」「話せるようになっても雑談が苦手」 DJ SODAさんも苦しんだ「場面緘黙」とは

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自助グループのイベントやボランティアで発話の練習

   大学生のカワグチさん(仮名)は幼稚園入園当初から、高校2年生の半ばぐらいまで場面緘黙の症状があった。ひどい時期には発話以外の行動も難しいほどだったという。

「時期によってだいぶ変わりますが、ひどいときは、外で全く話せないだけじゃなくて、食べるとか飲むとかトイレに行くというのも難しくなることがありました。だいたい小学校高学年から高校生あたりです」

   カワグチさんは中学生の頃に場面緘黙の診断を受けた。その後、高校生の頃に場面緘黙の専門家に相談に行ったという。

「小学校のときに両親がかかりつけの小児科医に相談したらしいのですが、あまり親身になってくれなかったそうです。その後、中学生の頃に不登校になってしまったのですが、そのときにスクールカウンセラーの先生に紹介された小児科の精神外来のようなところで診断されました。ただ、専門家の先生に行くところまでは、(場面緘黙への)治療はあまり受けていなかったです」

   学校では特別支援学級に通っていたが、そこでも発話ができるような支援はなかったそうだ。当時辛かったことについては

「発話ができないときに先生に怒られたり、音読ができずにできるまで立たされたり、挨拶ができなくて何回も促されたりといったことがありました。一番大変だったのは、体調不良のときに訴えられなくて、すぐに病院に連れて行ってもらえずに入院することになってしまったことです」

と話した。外で話せるようになったのは高校生の頃、専門家に相談しに行ってからという。

「(専門家の先生の勧めで)お昼休みの時間を使って、クラスメイトの女の子と空き教室で会話の練習をすることで、ちょっとずつ緩和していきました」

   その後も雑談や大きな声を出すことへの苦手感は残るといい、アルバイトのときなどに苦労した。

「面接でうまく話せずになかなか受からなかったり、採用されても仕事の報告をするときなどに『もうちょっとはっきり喋って』と言われてしまったりしました。話せるときもあるだけに、たまにつっかえて話せなくなると、無視していると捉えられてしまうこともあります。ほかにも、例えば他人にぶつかったり他人の物を壊したりなど、相手に迷惑をかけてしまってもなかなか謝れない、ということが現在もあります。

(1つのアルバイト先で)長く続ければ続けるほど、(アルバイト先の人と)親しくなればなるほど、雑談が難しくなってきてしまいます。そもそも日常生活があまりうまくいっていないので、継続的に働くことがすごく難しくて、単発や派遣を選んでいます」

   現在は通信制大学に通いながら、場面緘黙の自助グループが主催するイベントや単発のアルバイト、地域のボランティアに参加しながら発話の練習をしているという。

「当事者同士の交流会では、テーマトークをするのですが、色々と考えながら喋る練習になります。当事者が店員を務めるカフェのイベントにも店員として参加しましたが、理解のある中で接客の練習をすることで、失敗体験にならない練習ができたと思います」

(J-CASTニュース編集部 高橋佳奈)

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