不透明なキャスティングが日本のドラマのレベルを下げた
―― 「タレントに罪はない」という指摘もあります。
福田: タレントはいい会社と思って就職したら、そのうちビッグモーターになっちゃったんですよ。こんなひどい評判になってどうします?と言われたら転職しますよね。移籍の自由をきちんとルール化すべきです。
―― 仮にジャニーズ事務所にいる人で「もう僕辞めます」となったら、福田さんの会社でマネジメントを引き受ける可能性はありますか。
福田: 引き受けますし、やっぱりきちんとした対価の話だとか、仕事の構造をまず説明して、その人が持っているブランド力、踊りが得意なのか歌なのか、喋りなのか、ということによってブッキングしていきますね。それが普通の仕事の進め方です。
ところがこれまで、いくつかの大手事務所は、仮にAさんが大ヒットを出したとすると「Aさんにヒットが出たから、次はBとセットにしなきゃ駄目だぞ」といったことをやってきたわけです。こんなことを繰り返してきたから、日本のドラマは韓国に比べて低レベルなのはもちろん、世界的に一番レベルが低い存在になってしまいました。キャスティングの透明化は絶対必要です。他にそういう透明な経営をやっているところがないので、今後ビジネスマンとしてやっていきたい人はうちの会社に来るべきだと思います。
日本人の有名俳優やタレントが大金持ちの時代じゃなくなったのは悲しいですよね。宍戸錠さんや石原裕次郎さんといったら、ちゃんと大金持ちだったじゃないですか。そういうふうにコンテンツが上だった時代が映画の全盛期だったはず。それが、テレビが自力でコンテンツを供給できるようになった1980年代から、今のトレンドが始まっています。
―― ガラパゴス化していますね。海外に活路を求めるというのも一つの考え方です。
福田: 国内需要だけでいいというならともかく、グローバルスタンダードを勉強した方がより収入にもなるし、日本の魅力にもなります。(国内に)閉じていることによってベネフィット(利益)を最大限享受できていたのですが、それができなくなったことに、マネジメントの仕方が古いから気づいてないのだと思います。
本当は香港だとか、ハリウッドに行った方が機会がある。少し前までは英語もきちんと話せない中国人女優がハリウッド映画に多数出演していました。アリババやテンセントが出資するからです。米中関係の悪化でそれもなくなりつつあるので、日本にとっては非常に機会が大きいはずです。