担当者が交代→書籍化予定の作品が没に ベテラン作家から見た「非正規」編集者の功罪

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「非正規」の編集者とどのように付き合うべきか

   わかつきさんには、担当編集者が退職してしまったために企画が流れてしまった経験もある。その担当者が一人でけん引してきたレーベルごとなくなってしまったという。担当者から退職の連絡があったとき、はじめて契約社員だったと明かされた。

   わかつきさんは、「昔と比べて正社員の編集が減り、非正規が増えたことによるひずみを感じている」と話す。

「とにかく2年で成果を上げて正社員になるか、契約を更新してもらわなければならない。いかに新しい作家を引っ張って来られるかが編集者の腕の見せ所ですから、引継ぎの作家への対応は後回しになりがちなのでしょうね」

   この問題に対し、作家としてどのように向き合うべきか。わかつきさんは「コミュニケーションをとることを大事にしている」と話す。

「担当者が変わったとたんにうまくいかなくなった作家たちには、編集者と連絡を取り、東京に行って直接コミュニケーションをとるよう呼びかけています。もし編集者がミスをしても怒らず、自分が先輩だと思って教えてあげて欲しいです。 新任の編集者は苦しい状況に置かれています。『あなたの敵ではない』と伝えてください。一緒にいい作品を作ろうという姿勢を伝えることが大事だと思います」

   また契約社員が増えることには、メリットもあるという。

「作家としては、むしろ仕事のチャンスが増えたと前向きにとらえています。 編集者は短期間で別の会社に就職できる。移動先の編集部で新しい作品を取り入れ、自分の力で売りたいと考えている。そこで、付き合いのある作家を引っ張ってきます。 作家は、関わりのある編集者さんが移動したことで、これまで付き合いのなかった会社から仕事をもらえるようになります。これまで挑戦してこなかった別のジャンルの仕事をもらうこともあります。複数の出版社から本を出せるようになるのは、一つの出版社とだけ仕事するよりも、リスクマネジメントができるのではないかと考えています」

   わかつきさんは、「昔は昔でトラブルがありましたし、今は今の良いことを数えていきたい」と意気込んだ。

    (J-CASTニュース編集部 瀧川 響子)

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