担当者が交代→書籍化予定の作品が没に ベテラン作家から見た「非正規」編集者の功罪

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   準備を進めてきた小説が担当編集者の交代を機に没になってしまった――。ある小説作家のエピソードに、Xで「コレが罷り通って良いの!?」「人の心とか無いんか?」などの驚きの声が広がった。一方で、複数の小説家やマンガ家から同様の経験があるといった声が寄せられた。

   20年以上小説家として活躍しているわかつきひかるさんによれば、珍しい話ではないという。いったい何が起きているのか。J-CASTニュースは2023年9月21日、わかつきさんに業界事情を取材した。

  • 担当者交代がきっかけで作品が没に(写真はイメージ)
    担当者交代がきっかけで作品が没に(写真はイメージ)
  • 担当者交代がきっかけで作品が没に(写真はイメージ)

「こんなことしょっちゅうやられたら作家が潰れます」

   9月中旬、ある作家の明かした小説が没になった経緯がX(旧ツイッター)でにわかに話題になった。担当編集が交代となり、新しい編集者の意向で、編集長の確認を経てイラストレーターの選定まで話を進めていた小説が没になってしまったという。

「これはあります。担当者変更があると、旧担当と進めていた企画がぽしゃるんです。旧担当の企画で数字が出ても新担当の成績にならないからですが、正直、堪忍してほしい。今は編集者の移動が多いし、非正規化も進んでいるので、こんなことしょっちゅうやられたら作家が潰れます」

   こう訴えたのは、小説家のわかつきひかるさんだ。2001年に作家デビューし、ライトノベルや時代小説、官能小説など幅広い小説を手掛けている。著書の数は別名義のものを含め、150冊ほどあるという。現在は、新人作家に向けた小説の書き方教室やお悩み相談も展開している。取材に対し、自身も同様の経験があると明かす。

「企画の段階では、この内容で小説を書いていいとお墨付きを得ていました。書籍化をお約束していただいて、就職活動に例えれば内定を得た状態に近いです。ひっくり返る可能性がないことはないけれども、ほとんどOKの状態です」

   その後、レーベルの副編集長から「担当者が失踪した」という電話があった。担当者が住んでいたはずのアパートはもぬけの殻で、代わりに新しい担当者をつけるので待っていて欲しいという連絡だった。しかし新しい担当者は前担当者と進めてきた作品を没にした。

「新しい担当者さんは『先生の企画は大変すばらしいんですが、もっといい小説を書けると思うので別の企画を考えてきてもらえませんか?』『もっといい企画書を出しましょう!』と提案してきました。前担当者の決めたことやりたくなかったようです」
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