「これは危ない」「幻惑効果を狙ったダズル迷彩と一致」──。
北海道砂川市にある複合施設「みんなの工場」について、階段とスロープが一体化した場所が安全性に欠けるデザインではないかとX(ツイッター)で物議を醸している。
開業したのは、化粧品ブランド「SHIRO」を手がけるシロ(東京都港区)。同社は取材に、実際に躓く客も見られるとし、対策を重ねたうえ現在は声掛けしていると答えた。
実際に「躓くお客様がいらっしゃる」
発端は2023年9月27日、「みんなの工場」内と見られる写真がXで投稿されたこと。横長に広がる4段の階段を、左奥から右手前にくだる緩やかなスロープが突っ切っている。床は茶系の様々な色を組み合わせた細長い木材が一方向に敷き詰められ、段差と坂の境界が判別しにくい状態だ。スロープ近く、階段の角には淡い紫色のテープが一部張られている。
投稿は大きく拡散され、「寄せ木細工のようで面白いですが、段差や角などが即座に視認できないので踏み外しや転倒の可能性が高い」「これは危ない」「『トラップ』としては成功」といった声が広がっている。「幻惑効果を狙ったダズル迷彩と一致」とみる反応もある。
シロのPR担当は29日、みんなの工場内の写真だとJ-CASTニュースの取材に認めた。施設は4月28日開業。製造作業をガラス越しに見学できる工場に、ショップやカフェなどが併設されている。
当該場所のデザインについては、「通常、薪や燃料にしか使われない木材を森の循環のため、フローリング材として使用いたしました」。
「一見、捨てられてしまうものもクリエイションすることで新たな価値として生まれ変わらせ、日常のモノに対する価値観を考え直すきっかけになるよう生まれたデザインです」と説明する。北海道産のセン、ハン、サクラの木の端材を用いた。
一方で、「実際にオープンして以降、段差を認識しづらく躓くお客様がいらっしゃることを確認いたしました」と明かす。
追加対策済み「視覚的にさらに強調」
そのため、「段差が識別しやすくなるよう」紫色のテープを施したという。
「その後、同年8月1日には視覚的にさらに強調することを目的に、階段面へ大きなSHIROのロゴデザインを配置いたしました」と述べ、下記のように伝える。
「以降、躓くお客さまは減少しましたが、8月15日にお客さまが転倒する事案が発生いたしました。そのため現在はご高齢者や特に配慮の必要なお客さまにはお声掛けをするようにしています」
「今後の状況を見ながらさらなる対策が必要であれば講じていく予定です」とも答えた。