ラグビー「番狂わせ」なぜ起きづらい? 日本はイングランドに11戦全敗...元W杯代表が指摘する「2つの要因」

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   ラグビーワールドカップ(W杯)フランス大会の熱戦が続いている。1次リーグD組で世界ランキング14位・日本は2023年9月10日の初戦でチリ(22位)に42-12で勝利し、18日の2戦目イングランド(6位)に12-34で敗れた。イングランド戦は前半9-13で折り返すも後半3-21と突き放された。日本はイングランドの高い壁を乗り越えられず対戦成績は11戦全敗となった。

   日本とイングランドの対戦成績はひとつの例に過ぎないが、ラグビーは他の競技に比べ「番狂わせが起こりづらい」とされる。過去9回のW杯優勝国を見ると、ニュージーランド(3回)をはじめオーストラリア(2回)、南アフリカ(3回)、イングランド(1回)と世界ランキング上位の国が優勝している。

   ラグビーはなぜ番狂わせが起こりづらいのか? 元日本代表で15年W杯イングランド大会に出場した経験を持つ藤田慶和氏(三重ホンダヒート、30)はJ-CASTニュースの取材に、2つの要因をあげた。

  • イングランドの高い壁に阻まれた日本代表(写真:AP/アフロ)
    イングランドの高い壁に阻まれた日本代表(写真:AP/アフロ)
  • イングランド戦を分析した元日本代表・藤田慶和氏(三重ホンダヒート所属)
    イングランド戦を分析した元日本代表・藤田慶和氏(三重ホンダヒート所属)
  • イングランドの高い壁に阻まれた日本代表(写真:AP/アフロ)
  • イングランド戦を分析した元日本代表・藤田慶和氏(三重ホンダヒート所属)

「フィジカルはすごく重要なポイント」

   藤田氏は1つ目の要因として「ラグビーはコンタクトスポーツなのでフィジカルを避けて通れません。体格が大きい国、フィジカルが強い国があります。フィジカルの差が、番狂わせが起こりにくい大きな要因になると思います」との見解を示し、次のように解説した。

「他のスポーツでラグビーほどコンタクトがある競技はなかなかないと思います。セットプレーのスクラムなど、色々な場面でフィジカルが試されます。フィジカルのベースがあった上でのスキル、高さ、チーム力です。そもそもフィジカルで戦えなかったら勝負の土壌に上がることができません。ひとつひとつの局面で勝てなかったり、80分間を通して序盤は対等に戦えても終盤に疲れて戦えなくなったりすることがあります。そういった観点からもフィジカルはすごく重要なポイントだと思います」

   番狂わせが起こりづらいと言われるラグビーで、日本は15年W杯イングランド大会でW杯優勝経験のある南アフリカを破る大番狂わせを演じた。前半を10-12で折り返すと、試合終了間際に逆転トライを奪い勝利。当時の世界ランキングは日本が13位で南アフリカが3位だった。

   日本の快挙は世界中に「史上最大の番狂わせ」「世紀の番狂わせ」などと報じられ、試合会場の地名にちなみ「ブライトンの奇跡」と呼ばれた。

   南アフリカ戦では出場の機会がなかったものの代表チームに帯同していた藤田氏は、大金星を獲得した大きな要因として日本のフィジカル強化を挙げた。

「それまでの日本代表はなかなかスクラムで勝てなかったり、ラスト20分で走り勝てなかったりしたことが多かったです。そこを(当時日本代表ヘッドコーチの)エディー・ジョーンズさんが最後まで走り勝てるようにハードなトレーニングを課しました。フランスからスクラムコーチを呼んで一から強化し、W杯までの4年間、少しずつ成長していった結果、世界でもフィジカルが1番強いと言われる南アフリカに勝利できました。フィジカルの強化はすごく大事なことだと感じました」

「7人制の方が、番狂わせが起きやすい」

   番狂わせが起こりづらいもう1つの要因として試合時間の長さを挙げた。

「ラグビーは前半と後半を合わせて80分間プレーします。強い国と弱い国が対戦した時、強い国が序盤に崩れても中盤から終盤のどこかで修正して立て直せる時間があります。ちょっとしたズレを修正できます。前半が悪くても後半にしっかり立て直してくる強豪国の強さを知っています。7人制でも日本代表の経験がありますが、7人制は14分(7分ハーフ)しか時間がないので、前半で畳みかけることができればその流れで勝つことができます。そういう観点で言えば7人制の方が、番狂わせが起きやすいと思います。15人制のように試合時間が長ければ修正力も上がり、多少のミスならカバーできます」

   今大会1勝1敗の日本。藤田氏はイングランド戦について世界6位の強豪相手に日本が奮闘したと評価する一方で、日本のミスやフィジカル面の課題を指摘した。

「日本はスクラムでずっと耐えていましたが、60分以降は苦戦しました。相手の強みが出てトライを取られてしまいました。これはイングランドが後半にしっかり修正してきた部分だと思います。フィジカルの面では途中までは良かったと思いますが、最後にやられてしまいました。勝敗を決めたのはラスト20分に自分たちでミスしてしまったことと、相手の強みを出させてしまったことだと思います。これが勝負のポイントでした」

   さらに「イングランドはスタメンの15人だけではなく、23人がまとまって戦えていました。交代して入った選手がしっかり仕事をしたのが印象的でした」と続けた。

   日本は29日に決勝トーナメント進出をかけ世界ランキング11位のサモアと対戦する。

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