万引き犯に「あなた以外お買上げしている」 書店が切実訴え...客も同情「出版に携わる人々の努力が水の泡に」

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   航空雑誌を万引きするのは止めてほしいと、埼玉県内の書店がコーナーに出した掲示が、ツイッター(X)上で話題になっている。

   航空関係の本が充実していることで知られ、愛好者が「閉店しかねない」と危惧して掲示の写真を投稿した。犯行の手口も巧妙で、店も難儀している様子だ。

  • 書店の掲示が話題に(写真はイメージ)
    書店の掲示が話題に(写真はイメージ)
  • 航空雑誌コーナーに出された掲示(写真は、Sonoda Hiroki@SonodaHirokiさん提供)
    航空雑誌コーナーに出された掲示(写真は、Sonoda Hiroki@SonodaHirokiさん提供)
  • 書店の掲示が話題に(写真はイメージ)
  • 航空雑誌コーナーに出された掲示(写真は、Sonoda Hiroki@SonodaHirokiさん提供)

航空雑誌の品ぞろえで知られるが、「最悪閉店に追い込まれてしまう」

「航空ファンやその他飛行機雑誌を万引きするのをやめてください!!」

   月刊誌「航空ファン」で知られる文林堂が発行する赤い背表紙のムック「世界の傑作機」がズラリと並んだ前に、こんな文を手書きした紙が掲示されている。

   その紙には、「あなた以外のお客様はちゃんとお買上げしてくださってます。ちゃんとお金を払ってください」と訴える文が続いていた。

   この写真は、軍事ライターをしているSonoda Hirokiさん(@SonodaHiroki)が2023年9月22日、ツイッターで投稿した。

   よく通っているという書店チェーン「ブックスタマ」の店舗でこの掲示を見たとして、「悲しい 近所に書店さんがあるというのは幸せなことだと常々考えているのだけど、こういった行為が積み重なると、最悪閉店に追い込まれてしまうかも。マジでやめてくれ」とつづった。

   この投稿は、1000件以上リツイートされ、書店の苦労ぶりについて、様々な意見が寄せられている。

   Sonodaさんは23日、J-CASTニュースの取材に応じ、前日に仕事の合間に立ち寄って掲示を見つけたと答えた。

   埼玉県内には、県営所沢航空記念公園があることから、この書店は、航空機関連の本が充実しているといい、特に「世界の傑作機」はバックナンバーを多数取りそろえているとした。自動車や鉄道の本、コミックやライトノベルも充実しているほか、三島由紀夫生誕100周年に合わせてディスプレイを組むなど、本好き店員の熱意が伝わってくる店だという。

   Sonodaさんは、趣味のミリタリーや模型の本を買うほか、仕事の資料を揃えるのにも重宝しているといい、万引きについてはこう述べた。

「防犯カメラに映っていなければ、現行犯でないと難しい」

「近所に書店さんがあるということはとても幸せなことだと常日頃から感じています。私は、学生の頃に2年ほど書店でアルバイトをやっていたこともあり、書店さんの経営のご苦労は僅かですが理解しているつもりです。また、1冊の本や雑誌が店頭に並ぶまでには多くの方達の努力があります。万引きは書店さんの経営を直接圧迫するものですし、出版に携わっている人々の努力を水の泡にしてしまう行為と考えています。絶対にやめて欲しい」

   ブックスタマを運営する大垣書店(京都市)では9月25日、取材に対し、店に掲示を出した理由をこう説明した。

「過去にも被害があって、少し正義感の強い店舗のスタッフが掲示したと聞いています。埼玉には、航空記念公園があって、客のニーズが多い航空雑誌が売れています。防犯カメラを付けていても、犯人は、カメラの位置を見ていますね。その視界に入ってこない死角で、巧妙に万引きされてしまいます」

   店頭には、初めて掲示したが、過剰な掲示になっていたとして、24日までに取り止めたことも明らかにした。

   書店業界では、平均して売り上げの1%が万引き被害に遭うという。ブックスタマでは、22年は被害が1%未満だったものの、「それでも、金額も金額ですし、いい思いはしません。店によっては、警備員を雇っていますが、それでもなかなか減らないですね」と漏らす。

「犯行後に、防犯カメラを巻き戻して映像が残っていれば、画像をプリントして警察に被害届を出します。警察に協力は求めていますが、防犯カメラに映っていなければ、現行犯でないと難しいです。今回は、犯人を特定できていません」

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

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