「登園前の子ども」の責任、保育所側に問うのは「酷すぎる」 2歳児置き去り死で専門家警鐘...本当に必要な抜本的制度改正とは

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一律の登園確認の連絡は保護者にとって困ることも

   鈴木教授は2つ目に、「一律に登園確認の連絡を徹底することが子ども本人や保護者へのプレッシャーになる可能性」を挙げ、子どもと保護者との関係性の悪化要因ともなるとした。

「子どもの体調は毎日変化します。子どもの食欲、感染の有無、体調等を考慮し、意思確認等し、場合によっては病院等を経由しながら、登園(時間)を調整せざるをえない事態は、保護者にとっては、むしろ日常の景色です。こうした中で、園からの確認連絡を徹底すると、定刻に登園すべきとのプレッシャーを与え、急がせる親とぐずる子どもというように子どもと保護者との間の関係をより悪くするとの報告例もあります」

   また、保育施設側が一律に登園確認の連絡を徹底することは、保護者と保育所との関係性の悪化要因ともなりうるという。

「保育所の登園時間は家庭ごとにそれぞれ違います。保護者の勤務形態や距離により、定時開園と同時に子どもを預ける保護者、第二子・第三子との関係で登園が遅い時間帯となる保護者、自営業、夜間勤務や不規則勤務の保護者等様々な家庭事情があります。保育所は、こうした保護者の仕事や家庭事情を尊重して適時・柔軟に支える姿勢が求められます。それゆえ、何時までに全員登園してくださいという仕組みは馴染まないのです。『(これまで保育園の先生と信頼関係を築きながら柔軟にやってきたのに)事故が起きたことで、一律に朝の登園確認が行われるようになり、(仕事や子どもの体調を考えながら時間調整して)忙しい時に、連絡回答をしなくてはならず、プレッシャーだし、煩わしい』という声も多数挙げられています」

   鈴木教授は「(これまで、保護者側の事情を尊重しながら、個別に対応してきた保育所側からすると)こうした事件を受けて、すべての家庭の登園確認を毎朝定時に行うのは保育所の責任との議論がなされるが、それは、果たして誰の利益になるのか」と、疑問を呈する。

「やはり、登園確認は、個別の家庭事情を考慮しながら行わざるを得ないでしょう。しかし、虐待の疑いがあるので登園を促す連絡を迅速にした方が良い場合、昨日体調が悪かったので様子を見ると連絡があったので、その点を考慮して遅い時間に登園確認をした方がよい場合など、100人いれば100とおりの配慮すべき家庭事情があります。

『保育園に遅れて行きます』と連絡がありながら、登園がないので再度の連絡をすると、『今日はやっぱりやめました』と状況が変わる場合も多々あります。保護者との信頼関係を壊さないように支援ベースでの個別の(登園時間)確認の連絡をすることは、形式的にただ、事務連絡をすればよいということではないのです」
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