秋田市「まさか」の大水害から2か月 住民が証言する発災時と今

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一人ひとりが、出来ることを

   秋田市では、土砂災害も発生した。山内(さんない)地区に住む齊藤由紀子さんは大雨の日、地元警察に促され避難所で一夜を過ごした。翌日帰宅すると、自宅の裏山が崩れ、「川のようになっていた」。住居は無事だったが、水道が壊れるなど生活に支障が出た。家の前に土砂がたまって「圧迫感がありました」。

   7月末、PBVが支援に入った際は、大きな石がゴロゴロしていた。支援団体が協力し、重機でこれらを取り除き、水道を復旧させ、記者が訪れた時期には穏やかな環境が戻っていた。齊藤さんは「どうしていいか分かりませんでした。ボランティアの皆さんが来てくれて、本当に助かりました」と笑顔を見せた。

   PBVのような支援団体の活動は、被災地の復旧に欠かせない。だが近年は、全国規模で自然災害が頻発している。こうした団体やボランティアの活動に頼るだけでなく、一人ひとりが、出来ることを考える時代が来ている。

   前出の荻田さん夫妻、神原さんの町内は、住民の結びつきが強いという。神原さんの場合、民生委員として「知らない顔はない」ほど、普段からコミュニケーションを欠かさない。荻田優美子さんは自身が代表として、地域にラベンダーを植える有志グループを続けており、近所の人と一緒に活動する機会を持っている。記者が訪れた日、このグループと町内会が、地域の消防署長を招いて会合を開いていた。「次」へ備えようと、被災住民が集まって情報を共有したという。

   荻田茂さんは、仕事で防災に長年携わっており、優美子さんと共に「今回の経験をどう生かすか、町内で議論していきたい」と考える。神原さんは「自分の身は自分で守る、と強く思いました」と、経験を踏まえて語った。

   こうした「自助、共助」はもちろん重要。ただ地域によっては、お互いが顔見知りとは限らないし、逆に昔からの結びつきが途切れているケースもある。大災害に見舞われれば、生活再建は長期戦となる。事前の備えや住民間のつながりを「制度」として整えていくのも、今後必要になるかもしれない。

(J-CASTニュース 荻 仁)

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