「私人逮捕」YouTuberなぜ台頭?背景に正義の暴走&スッキリ感 弁護士は法的リスク指摘

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「私的なチケット転売も不正転売として犯罪になり得る」

   私人逮捕は、警察などの捜査機関ではなく、一般市民が令状なく行える②「現行犯逮捕」を指す。

   「現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる」(刑事訴訟法213条)という規定により、誰であっても現行犯逮捕することは可能だとする。

   逮捕手続きは、「被逮捕者の身体的自由を侵害するものであるため、原則的には裁判所の発布する令状に基づきなされる必要」がある。そのため、「現行犯逮捕が適法となるための要件は厳格に定められており、逮捕されようとしている者が『現に罪を行い、または現に罪を行い終わった者』(現行犯人)にあたる必要」があるという。

   法律の条文に定められている刑が30万円以下の罰金、拘留、科料にすぎない軽微犯罪については、刑事訴訟法217条により、「犯人の住居若しくは氏名が明らかでない場合又は犯人が逃亡するおそれがある場合」に限って現行犯逮捕が可能になるとする。これらの要件を満たさない私人逮捕は違法だと指摘する。

「上記の要件を満たしていたとしても、逮捕行為自体が社会的通念上、必要性・相当性が認められない態様でなされた場合(不必要に暴力行為を行う等)にも違法な逮捕行為と評価される可能性があります。
そして、現行犯逮捕後は直ちに検察官又は司法警察職員に犯人の身柄を引き渡す義務があるので(刑事訴訟法214条)、この義務に反する場合も違法な私人逮捕となる場合があります」

   フナイムさんがジャニーズタレントが出演する舞台のチケット転売をする一般人を私人逮捕した件については、被逮捕者が「業として」(仕事として)継続的に経済的な利益を得ようと転売をしていたとすれば「私的なチケット転売も不正転売として犯罪になり得る」とする。今回の被逮捕者が「業として」転売した前提で次のように述べる。

「チケット不正転売禁止法により規制されている不正転売の罰則は『一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金』であるため、軽微犯罪ではなく、不正転売の犯人を私人逮捕することは適法となる可能性があります。
もっとも、犯人が抵抗していないのに必要もなく暴力行為をしたり、一人の犯人について理由なく複数人で制圧した場合には、逮捕行為の必要性・相当性が認められず、違法となる可能性があります」
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