島根県松江市にある道の駅に段ボール製の授乳室が寄贈されたというニュースに対し、X(ツイッター)では安全性や衛生面について疑問視する声が上がっている。J-CASTニュースは2023年9月21日、寄贈元の一般社団法人日本道路建設業協会に取材した。同協会は寄せられた意見に対し「真摯に承る」とコメントした。
「安心して授乳できない」
国土交通省の発表によると、「ダンボール授乳室」の寄贈は、同省が推進する「道の駅『子育て応援』施設」の整備支援として行われたものだ。2023年からの3年間で、全国の道の駅150駅に授乳室と授乳チェアを寄贈する予定だという。
寄贈されたダンボール授乳室は、板野紙工(広島県広島市)が開発したもので、第16回ひろしまグッドデザイン賞プロダクト部門奨励賞を受賞している。国交省の発表では「常設にも耐える安心・安全な強化ダンボール製の簡易設置型授乳室で、設置後の移動移設も簡単にでき、災害時の対応やお子様連れが多い催事場への持ち出しも可能」という。
しかし、ダンボール授乳室にはカーテンのみで鍵がついておらず、天井もないことなどから「もっとしっかりしたスペースじゃないと安心して授乳できない」などの声が寄せられている。また、段ボールでは汚れた際に十分に消毒ができないのではと、衛生面への不安の声も上がっている。
行政機関などにも納品実績があり
日本道路建設業協会は今回の段ボール製授乳室を贈呈品として選定した経緯について、「厚みのある強化段ボールを使い、天井部分には梁を渡して、強度を高めていると聞いております。行政機関などにも納品実績がある中で、不具合などの連絡も一切ないということも聞いていますので増設となりました」と取材に回答した。
選定の経緯について「贈呈にあたっては、全国『道の駅』連絡会とも連携しております。道の駅さんには事前に贈呈品などの仕様についてお話し、公募などをかけて、設置場所などについても事前に確認させていただいた中で、(贈呈先を)選定しています」と補足した。
Xでは、「災害時の避難場所など仮設としての設置であれば理解できる」という旨の意見も見られた。今回寄贈したダンボール授乳室は一時的な設置を想定しているのか、長期的な設置を想定しているのかという質問に対しては、「設置後の移動や移設も簡単にできたり、災害時に持ち出しも可能といった1つの利点もありますし、常設にも安心、安全な段ボールということでもあるので、そういう意味でも道の駅の方にお知らせした上で、設置をお願いしているところです」とした。
寄せられた意見に対しては「貴重なご意見として、我々も真摯に承って、今後いろいろな対応に向けて検討していきたいと考えております」とコメントした。