49記事で日経新聞などから剽窃・盗用 ニュースサイトが謝罪「社会的・倫理的に問題」...原因は生成系AI

   テレビ番組などのメディアにも出演している石田健氏が2023年9月17日、自身が編集長をつとめるニュース解説メディア「The HEADLINE」で剽窃・盗用に該当する記事が公開されていたことについて謝罪し、経緯を説明した。

   同誌が開発・検証中だった生成系AIの利用を原因とするものだったという。

  • 「The HEADLINE」より
    「The HEADLINE」より
  • 「The HEADLINE」石田健編集長のX(@ishiken_bot)より
    「The HEADLINE」石田健編集長のX(@ishiken_bot)より
  • 「The HEADLINE」より
  • 「The HEADLINE」石田健編集長のX(@ishiken_bot)より

「信頼できるメディアを作っていけるように、ゼロから出発していきます」

   石田氏は現在、朝のワイドショー「DayDay.」(日本テレビ系)などに出演している。

   石田氏が編集長をつとめるニュース解説メディア「The HEADLINE」をめぐっては、8月22日に公開された「清水建設、東京の『田町タワー』竣工が3カ月遅れ=床の不具合で20億円超の追加費用発生見通し」とする記事について翌23日、「日本経済新聞様・日経クロステック様の記事に掲載された文章をそのまま用い、剽窃・盗用に該当すると言える箇所が確認されました」としていた。

   石田氏は9月17日、X(ツイッター)を更新し「先日の件につきまして、お詫びとご報告を出しております。関係者の皆さまへのご報告もおこない、丁寧にご対応・お許し頂きました。改めて、ご迷惑をおかけした関係者の皆様に深くお詫びするとともに、信頼できるメディアを作っていけるように、ゼロから出発していきます」と謝罪した。

   15日に公開された「弊社の記事に関するお詫びとお知らせ」では、問題が起こった経緯を詳しく説明している。

   騒動の発端となった記事「問題記事A」について「弊誌が β 版として開発・検証をおこなっていた生成系 AI によって生成された記事」と説明し、「問題の発覚後、同システムによって生成された AI 記事も全て非公開にしておりますが、その後の調査を通じて『問題記事A』以外の問題ある記事の存在や、事態の経緯などが確認出来たため、判明後の対応などと併せて、以下でご報告させていただきます」とした。

   開発・検証中だったという生成系AIは、「複数のウェブサイトや報道機関様のサイトなどを参照し、話題となっているキーワードや事件などについて、新たな記事を生成する目的で開発したもの」だった。「複数のウェブサイトや報道機関様のサイト、ソーシャルメディアなどから話題のキーワードや、著作権法第10条2項における『事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道』のみを参照することを企図して」いたが、実際に生成された記事は「単なる事実の伝達を超えたものであるだけでなく、冒頭で述べたように剽窃・盗用に該当すると言える箇所が、複数箇所含まれるものとなっておりました」とした。

「開発・リリースフローなどの全面的な見直し・改善をおこなってまいります」

   その上で、調査によって問題があるとされた記事は49記事にのぼると明かした。

「問題が確認された記事は、08月18日18時11分から08月22日19時17分に公開された、合計49記事となっており、これらは、08月18日18時11分から08月23日15時58分まで閲覧可能な状態となっておりました。

この49記事のうち、15記事が『明らかな盗用・剽窃を確認できる箇所がある記事』であり、1記事が『盗用・剽窃の疑わしい箇所がある記事』と確認されました。また、これらの記事を含めた34記事が『盗用・剽窃とみなされる可能性が高い記事』と確認されました」

   こうした事態について、「今回公開された49記事は、いずれも既存の記事にフリーライドしたものであり、新たな価値や見解、議論などを生み出しておらず、社会的・倫理的に問題があることは言うまでもありません」と断じている。

   今回問題となった生成系AIは8月23日18時頃までに停止した上で、「今後は一切同様の要件にもとづいて機能開発をおこなわない旨を決定」し、取得していたデータや生成されたAI記事についてもすべて削除したという。

   問題について「本件は、当該システムの機能開発における(1)著作権に関する認識・理解不足(2)リスク認識およびコンプライアンス意識の欠如、の2点に起因するものと考えております」とし、「報道機関様および関係者様、弊社メディアをご利用のユーザー様にご迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げます」と謝罪。

   今後については「今後は、本件に関連する十分な理解・知見を得るまでの間、それに付随する機能開発は一切停止するとともに、開発・リリースフローなどの全面的な見直し・改善をおこなってまいります」としている。

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