水原一平氏はなぜ大谷翔平に安心感を与えられるのか 選手40人以上担当の元NPB通訳が語る「親しみやすさ」の源泉

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   大リーグ・エンジェルス大谷翔平投手(29)の6年目のシーズンが終わった。エンゼルスは2023年9月17日、右脇腹を痛めていた大谷を負傷者リストに入れ、今季の出場を断念することを発表した。ここまで投手として10勝5敗、防御率3.14、打者として打率.304、44本塁打を記録し、ア・リーグ本塁打王の可能性を残している。二刀流として大リーグの歴史を塗り替えてきた大谷を陰で支えてきたのが専属通訳を務める水原一平氏(38)だ。水原氏はシーズンだけでなく3月に開催されたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の日本代表に帯同するなど活躍の場を広げている。

   大谷の活躍と比例するように存在感を増している水原氏。スポーツメディアなどに取り上げられることも多く、その仕事ぶりは高く評価され野球ファンから大きな支持を受けている。J-CASTニュースは、西武ライオンズと横浜ベイスターズで通訳を務め、現在外国人選手の代理人として日米球界に関わる篠田哲次氏(53)に日米通訳の違いを解説してもらい、水原氏の魅力に迫った。

  • 大谷選手と談笑する水原氏(写真:AP/アフロ)
    大谷選手と談笑する水原氏(写真:AP/アフロ)
  • 大谷選手と談笑する水原氏(写真:AP/アフロ)

「水原さんにはとことん付き合うという姿勢がある」

   篠田氏によると、大谷の専属である水原氏とひとりで数人を担当する日本の通訳とは、選手に向き合うスタンスなどが根本的に異なるという。

   ひとつの例として選手の「通勤」を挙げた。大谷が渡米した直後は水原氏が球場まで車の運転を務めていた時期があったが、日本では通訳が車を運転して選手を送迎することはまずないという。タクシーやハイヤーを使用することが多く、電車で通う選手には1人で球場まで行けるよう通訳が指導する。

   球団によって通訳に求められるものは異なるというが、当時の篠田氏の1日のスケジュールはホームゲームの場合、選手よりも先に球場入りをし、選手が到着すると体調をチェックしてから練習に帯同する。投手を担当することが多く、練習中は常に選手の傍を離れず打球が選手に当たらないよう体を張って守っていたという。試合中はベンチまたはブルペンで待機し監督やコーチの指示を待つ。外国人選手がヒーローインタビューに登場する際、通訳が傍らで訳す姿はお馴染みの光景だ。

   通訳の仕事は基本的にグラウンド内で完結するが、日本の場合プライベートでも付き合いを持つ通訳もおり、仕事時間は選手との距離感によるという。篠田氏は選手と積極的に関わりを持ち、休みの日に子供をプールに連れて行ったり、子供が熱を出した時などは病院に同伴していたという。米国の場合は、仕事は球場の中だけと考えるタイプが多いらしく、球場の外での付き合いが全くない場合もあるという。

「遠征などで外食する時は、1対1で相性が良ければ一緒にいても問題はありませんし自然なことだと思います。大谷選手と水原さんの間柄はそのように見えます。何時間一緒にいても苦にならないという信頼関係ができており、水原さんにはとことん付き合うという姿勢がみられます。私の場合は複数の選手を担当していたこともあり、遠征先でその中の1人と一緒に食事に行くと他の選手との関係性に影響を及ぼすこともあるのでできるだけ他の選手も誘ってグループで会食していました」(篠田氏、以下同)
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