初心者向けのコンビニジムをうたう「chocoZAP(ちょこざっぷ)」が一部会員に向け、ギフト券を謝礼に店舗内装工事の「お手伝い」を募集したとX(旧ツイッター)で話題になっている。
なかには資格者を対象とする電気工事もあり、「専門職に対しての報酬が安すぎる」「雇用の方が良い」と様々な意見が出ている。運営は取材に、「誤解が生じるような表現があった」「不快な思いをさせてしまったのは本当に真摯に受け止めております」と説明。会員に謝罪したことを明かした。
朝~夕目安の電気工事をギフト券で募る
ちょこざっぷはパーソナルトレーニングジム大手「RIZAP(ライザップ)」の運営会社が22年7月から本格展開しており、月額税込3278円で「24時間365日全店舗使い放題」の無人化された手軽なジムとして急成長中だ。会員が2023年9月13日、オープン前の一部店舗に関する作業の「お手伝い」募集メールが届いたという情報をXに寄せた。
10の選択肢が設けられ、POP張り付けや棚の組み立ての手伝いといった内容から、「給排水の設備工事を行っていただきます」との項目のほか、「防災工事」「外壁の塗装作業」「墨だし作業」「大工作業」など。
なかには第二種電気工事士資格者に向けた「電気工事(照明器具取付、配線工事、コンセント工事)」の手伝い募集もあり、絶縁手袋、腰道具一式といった持ち物が求められている。
モデルケースでは店舗集合が9時で、説明や休憩を挟み、終了は夕方ごろ目安。習熟度やメンバーにより前後する可能性も伝えられた。いずれも活動から2か月後までに「お礼」として最大7000円分のAmazonギフト券が送られる。
Xでは肯定的な声もみられる一方で、「専門職に対しての報酬が安すぎる」「『お手伝い』ってレベルじゃない」「軽くお掃除するだけなら全然ありだねって思ったけど、この内容は確かに雇用とかの方が良い」と否定的な反応や、様々な法的懸念が出ている。
運営のRIZAPグループ広報は14日、当該メールは試験的な取り組みとして、一部会員に送付したとJ-CASTニュースの取材に答えた。今までも実店舗を活用しながらサービスのテストマーケットをしてきたという。
先の募集は、設計中の「フレンドリー会員制度」の枠を広げようとするものだった。かねて認定制で、割引特典を付与する形で施設清掃などの協力を呼びかけてきた。
「誤解が生じるような表現があった」訂正メールも
そもそも同制度は、少しでも気持ちよく店舗を利用したいというような有志の願いと謝礼で「Win─Winになるような形で行っておりました」。要望が多い背景もあり、ニーズを探っている。
ただ、先のメールには「誤解が生じるような表現があった」。結果的に社内の認識に一部齟齬がある状態でリリースしていたという。会員に不快な思いをさせ「非常に深く反省しております」とし、お詫びと訂正のメールを送ったと明かす。
実際、Xの複数投稿でこのようなメール文が報告されている。
「お休みの日やお仕事終わりなど、お手すきの時間を活用いただき、簡単なお手伝をいいただく主旨でしたが、『専門的な内容で、長時間のお手伝いをいただく』という誤解を招くような募集内容となっておりました。皆様の誤解を招き、大変申し訳ございませんでした」(原文ママ)
「今回のお手伝いは専門家の職人さんが一緒について、丁寧なサポートの元、どなたでも参加できる内容となっており、3時間程度からご参加いただけます。また、プロの職人さん監督の元、安全配慮は徹底して行っておりますのでご安心ください。完全未経験の初めての方からご経験のある方まで、『その方にあったお手伝い』を一緒に行っていきますので、ぜひご参加ください」
本来は専門職の社員がいる現場の有志手伝いを募るような主旨だったが、当初は「あたかも専門知識や技術を有してる方を募集しているような表現になっておりました」と広報。下記のように伝える。
「そのあたりの伝え方は社内でも非常に問題視しております。以後徹底して参るということで社内では対策に入っております。何よりもお客様に少しでも不快な思いをさせてしまったのは本当に真摯に受け止めております」
作業中の事故は「弊社が基本的に全て対応する」
フレンドリー会員制度は今回を含め、「雇用契約をするものではありません」とも説明する。「お好きな時に少しでもお手伝いできる方がいらっしゃればやってくださいという、あくまでも有志を募っている仕組み」とする。
広報によると、募集にあたってはコンプライアンス上のチェックもしている。今回Xで懸念された作業中の事故・ケガの対応に関しては、「専門的知識や経験のある社員が現場の安全管理・監督を行っておりますので、大前提、事故が起こらないように体制を整えています」としつつ、下記のように述べる。
「万が一起こった場合は、作業中の事故に関しては弊社側が基本的には保証・対応をします。まだまだ制度設計自体が出来ていないなかで、何か起こった場合に関しては、基本的には弊社が全て対応するという方針がございます。(ケガについても)もちろんです」
ちょこざっぷをめぐっては、「(会員と)共創していくようなサービスでありたい」「まだまだ至らない点は沢山あると思いますが、しっかりと向き合いたい。皆様にご愛顧いただけるような施設になれれば」との意向を示している。