ジャニーズCM見直しドミノの背景「反省も大きかったのでは」 性加害「薄々知っていたが、行動できなかった」専門家指摘

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   故・ジャニー喜多川氏による性加害問題をめぐり、2023年9月7日にジャニーズ事務所が会見を開いてから、各企業が所属タレントの広告起用を見直す動きが出てきている。企業が契約見直しを決めたポイントはどこにあったのか。マーケティング戦略に詳しい専門家は「みんな薄々知ってはいたけれども、何も行動ができなかったことへの反省も大きかったのではないでしょうか」という見方を示す。

  • 9月7日の会見の様子(9月7日撮影)
    9月7日の会見の様子(9月7日撮影)
  • 藤島ジュリー景子氏(9月7日撮影)
    藤島ジュリー景子氏(9月7日撮影)
  • 9月7日の会見の様子(9月7日撮影)
  • 藤島ジュリー景子氏(9月7日撮影)

「ジャニーズの対応がうまくなかったというのも大きな原因」

   ジャニーズタレントのCM起用「見直しドミノ」が止まらない。会見同日の7日、東京海上日動がCM契約解除を検討していることが報じられ、その後、アサヒグループホールディングス、キリンホールディングス、サントリーホールディングス、日本マクドナルドなど大手企業が契約更新しない方針であることが報じられた。

   各企業が続々と広告契約の方針を見直している理由について、電通での勤務経験を持ちマーケティング戦略やブランド戦略に詳しい田中洋・中央大学名誉教授は取材に対し、「ジャニーズ事務所が性加害を起こしたことを認めたのは当然大きい」とした上で、

「企業は株式市場からの批判にものすごく敏感になっているので、(前社長の)犯罪行為が明らかになった会社に対して、何らかの行動をしなければいけないとよく理解して行われたことだと思います」

と評価した。

   田中教授は「ジャニーズ事務所の対応がうまくなかったというのも大きな原因」という。会見では事務所の体制変更が発表されたが、藤島ジュリー景子氏は社長を退いたものの代表取締役に留まり、当面は株も100%保有するとされた。

   広告出演契約中で、少なくとも契約満了までは起用を継続する方針だと報じられている企業もあるが、田中教授は現状の世論からすると契約を見直す方針を取る方が妥当であるとした。

「従来のまま契約を続けるのは、よほど批判を恐れないような体質の企業でもない限り、なかなかできないのではないかと思います。ジャニーズのファンは一定程度いるわけなので、一定程度買ってくれる見込みがあってやっているのかもしれない。世論とジャニーズタレントのファン(の購買力)とを天秤にかけて、どちらが得かと考えてやっているのかもしれませんが、判断基準は知りたいところです」

今までジャニー氏の性加害問題に触れてこなかった反省の面も

   田中教授は、各企業の契約見直しは、今までメディアがジャニー氏の性加害問題に触れてこなかったことへの反省の面もあるのではとした。

「ジャニー氏の性加害行為が(裁判で)認定されたのは、もう20年ほど前じゃないですか。いろんな本も出ていたし、週刊誌の報道もあったし、みんな薄々知ってはいたけれども、何も行動ができなかったことへの反省も大きかったのではないでしょうか。各メディアもそういう声明を出していると思います」

   田中教授は元ネスレ日本社長の高岡浩三氏が9月11日にフェイスブックで、「正直言って、いったい何をこんなに騒いでいるのだろうか?という感覚でジャニーズ問題を見ている」とし、ジャニー氏の性加害の噂を知っていたため「ネスレのガバナンスとコンプライアンス規定の観点から、キットカットと言えども一度もジャニーズのタレントをCMや販促に起用しなかった」と投稿したことに触れ、

「そういうこと(性加害の可能性)に気付いて判断した人は日本の企業だと高岡さんくらいではないでしょうか。当然、ネスレのような国際企業ならば、(社長が)そんな犯罪を起こしている企業と付き合ってはいけないことは分かっていたと思います。そういう点では、日本企業、メディアも含めて、みんな本当に反省しなければいけないということが(広告起用の方針見直しの理由として)とても大きいと思います」

と、今までのメディアや広告での起用を反省する意味で、各企業は起用の方針を見直しているのではないかと指摘した。

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