日本維新の会が次期衆院選に擁立を予定している元アイドルの中村梨香さん(36)が、フォークリフトのパレット(荷台)に乗って自身のポスターと記念撮影した写真をツイッター(X)に投稿し、物議を醸している。
ヘルメットも着用しておらず、違法行為ではないかとの指摘が相次いだ。中村さんは2023年9月14日、投稿を削除するとともに、「安全性に欠けた写真を投稿」したとしてツイッターで謝罪した。
「安全性に欠けた写真を投稿」「掲示いただいた会社様にもご迷惑」
「とっても見晴らしが良い場所にポスターを貼っていただけました」。中村さんは9月11日、ツイッターでこう報告して写真を投稿した。
中村さんは、フォークリフトのパレット上に立って、建物2階の外壁に貼った自身のポスターの前におり、カメラに向かってポーズする姿が写っていた。「乗ってみたらクラっときた 笑」として、さいたま市内の運送会社名を挙げて、「ありがとうございます!」と感謝していた。
この投稿は、13日になって、やってはいけないことではないかとツイッターで指摘を受け、炎上状態になった。
その後、投稿は削除され、中村さんは14日、ツイッターで次のように謝罪した。
「先日、高所にポスターを貼った際、フォークリフトの使用において安全性に欠けた写真を投稿しご心配をおかけいたしました。また私の不注意で掲示いただいた会社様にもご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げます。今後このようなことがないよう危機管理を徹底してまいります」
中村さんは、写真などを自由に使える「フリー素材アイドル」と称し、双子の姉とともに「Mika+Rika」のアイドルユニットとして活動していた。政治に関心を持って国会議員秘書をしながら、4月に統一地方選の埼玉県議選に維新から姉とともに立候補した。姉は当選したが、自身は落選しており、8月に維新の次期衆院選候補にリストアップされていた。
労働基準監督署「事業者は、目的外使用で法に引っかかる恐れ」
フォークリフトのパレットに乗る行為について、厚生労働省の春日部労働基準監督署が9月14日にJ-CASTニュースの取材に答えたところによると、労働安全衛生法に基づく厚労省令で定めた労働安全衛生規則の第151条の14に抵触する恐れがある。
この規則では、「事業者は、車両系荷役運搬機械等を荷のつり上げ、労働者の昇降等当該車両系荷役運搬機械等の主たる用途以外の用途に使用してはならない」と規定されている。労基署によると、パレットに乗らせた行為は、主たる用途以外の使用の制限に違反する恐れがある。
規則には、「労働者に危険を及ぼすおそれのないときは、この限りでない」との但し書きがあるが、今回は、カゴ型のような高所作業に使える専用のアタッチメントが使われていなかった。
「目的外使用で法に引っかかる恐れがありますので、事業者は行政指導の対象になります。ヘルメットの着用以前に、こういう使い方は想定していません。フォークリフトではなく、高所作業車でやってほしかったと思います」
フォークリフトをめぐっては、前橋市内でフォークリフトを使用して子供を遊ばせ死亡させた事故で父親が重過失致死の疑いで6月に書類送検されるなど、事故の報道が相次いでいる。
今回の行為について、労基署では、「乗った方は、違法とは言えないかもしれませんが、これから立法に携わる可能性も考えると、よくないことだと言わざるを得ません。子供を乗せた事故は、管内では起きていませんが、子供にもいい影響は与えないのではないかと思います」と話している。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)