ジャニーズ事務所創業者の故ジャニー喜多川氏による性加害問題は、企業と人権の問題に焦点が当たる契機にもなりそうだ。
国民民主党の玉木雄一郎代表は2023年9月12日に行われた定例会見で一連の事案について「児童労働、強制労働との関係でもよく検証が必要」だとした上で、ジャニーズに限らず「人権意識が日本社会として、日本の上場会社として問われている」と指摘。俳優の能年玲奈さん(30)が「のん」に改名し、一時期テレビ番組から姿を消したことを「私みたいな素人からすると謎」だとして、芸能界もテレビ局も透明性を上げていくことが必要だとした。
「人権意識が日本の上場会社として問われている」
記者会見では、テレビ局が芸能事務所に忖度(そんたく)する文化が今でもあるのではないか、という記者の問いかけに対して、玉木氏は人権問題として理解することが必要だとする見方を示した。ジャニーズをめぐっては、所属タレントの起用取りやめを表明する企業が相次いでおり、人権問題としてもクローズアップされつつある。
「児童労働、強制労働との関係でもよく検証が必要だと思っていて、いわゆる人権デューデリジェンス(人権保障などのルールに適合しているか調査すること)の観点から、人権に配慮していない会社の財やサービスの提供を受けるということは、上場会社は厳しく問われる問題だ」
「個社のジャニーズどうこうではなく、人権意識が日本社会として、日本の上場会社として問われているという意識をもう少し持っていただきたいし、そういう視点での報道が増えてくることを期待したい」
「透明性を芸能界やテレビの業界も上げていかないと」
議論はテレビ局が今回の事案について事後検証する必要性にも及び、タレントが事務所に対して立場が弱い中でさまざまな取り決めが進んでいく現状にも言及。その一例として、のんさんのケースを挙げた。
「例えば不可解なのは、能年玲奈さんが何で能年玲奈の名前を使えなくなって、のんちゃんになって、それで一時テレビに出られなかったって、私みたいな素人からすると謎ですよね?」
その上で、テレビ局と芸能事務所の双方が透明性を高める必要があるとした。
「いろいろ業界の大人の社会の話があるのだろうが、そういうことも含めて透明性をこれから芸能界やテレビの業界も上げていかないと、国際的にもなかなか通用しなくなってきている時代なのでは」
のんさんはNHK連続テレビ小説「あまちゃん」(13年)でブレークしたが、当時所属していた事務所「レプロエンタテインメント」との間で独立トラブルが発生し、16年に「のん」に改名。テレビ番組から姿を消していた時期もあった。
のんさんをめぐる動向は、性加害問題を通じて業界の体質が変化したかを表す試金石になるとも言えそうだ。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)