データ復旧の専門店「データSOS」が2023年9月11日、256GBに偽装されたUSBメモリーが持ち込まれたと問題提起し、話題になっている。実際の容量は64GBしかなく、それ以上保存しようとするとデータが消えるという。
J-CASTニュースは12日、詳細や見分け方のポイントについて話を聞いた。
「あらゆることが全て偽装」のUSBメモリー
データSOSはX(ツイッター)でUSBメモリーの画像とともに
「データが消えてしまったので調べてほしい、と持ち込まれた256GBのUSBメモリ。どうも挙動がおかしいので詳しく調べると容量偽装品。本当は64GBの容量しかなく、それを超えると前のデータを消すという極悪仕様」
と投稿した。
データSOSによると、偽装USBメモリーは、使っているうちにデータがどんどん消えていってしまい、客自身でも復旧を試みたもののうまくできなかったため、専門家に見てもらいたいと持ち込まれたものだ。
確認したところ「機材で見ると256GBの容量があると出てくるんですけど、実際にどういうデータがどれぐらいの量書き込まれていたかを調べてみると、そんなに容量がなさそうでした」と言い、「一定の場所(容量)を越えると新しく書き込まれたデータに上書きされているような挙動が見られた」ため、偽装品を疑い調べたところ「amazonのレビューでも同じように容量偽装でしたというような書き込みが出てきたので、確信犯的に売られているものだと(思った)」と説明した。古いデータが上書きされているため、データの復旧は難しいという。
USBにはブランド名のような文字が記載されているが、「ブランドなのかどうかもちょっと分からない。実際にこのメーカーを検索しても販売サイトしか出てこない」と言い、公式サイトも見つからないという。さらに口コミも「同じパターン」が多く、偽装されている可能性が高いためあてにならず「容量も偽装、 口コミも偽装で、メーカー名も偽装みたいな。あらゆることが全て偽装」と話す。
偽装メモリーについて、容量の大きさはさまざまあるものの「今回の場合はおそらく64GBで、64GBまでは普通に使えるというところがミソ」だとした。持ち込んだ客も、購入してから2年ほどは問題なく使えていたため、偽装品だと疑うことはなかったという。
購入しないポイントは相場を知ること
こうした偽装品の見分け方について「相場からかけ離れている金額というのが大きい(特徴)です。なので、まず相場を知るというのが1番大事かなという気がします。1万円くらいで売られているものであれば、ちょっと安い8000円くらいだったらなんとか(大丈夫かもしれない)。それが2000円ちょっとだと安すぎないかという疑いが出てきます」とした。
購入してしまったあとに偽装品かもしれないと疑うポイントは、速度だという。データSOSは「USBはUSB2.0や3.0などいろいろな規格がありますが、コネクタ(接続端子)がブルーのものは比較的速度が速いです。なので、コピーなども割と一瞬で終わるんですけれども、今回はUSB3.0で速度も速いはずなのに、めちゃくちゃ遅かったです」と説明し、大きなファイルを試しにコピーしてみて、ある程度の速度が出るかどうかで見分けるという方法を提案した。また、偽装品かどうかをチェックできるソフトを使うことも方法の一つだとした。
ここ1~2年で偽装品が増えている
データSOSはこうした偽装品が最近増えてきているとし、「ここ1~2年でそういうのに遭遇することがすごく増えた印象」だという。
「以前、子供用のカメラに入っていたマイクロSDカードが偽装品だったことがありました。1000円、2000円ぐらいの結構安いトイカメラに入っていた32GBのSDカードで、容量を超えて撮影すると使えなくなるというひどいもので、そうなるとお子さんは泣きますよね」と実際に持ち込まれた偽装品の例を話した。
偽装品が出回る理由としては、「コピーがしやすいんだと思います」という。「プログラムをちょっと変えるだけで容量を偽装できてしまうこともあります。本当にたくさん容量が入るチップを買うのは高いけれども、安く売られている32GBや64GBの不良品のようなマイクロSDカードなどをいっぱい買ってきて、プログラムを書き換えてしまう。そういう悪さをする人が出てきているのだと思います」と見解を語った。