高知県にある「桂浜水族館」が2023年9月10日、コツメカワウソに関する過去の投稿について、不適切との指摘を受けたとして「カワウソをはじめ生きものを愛する皆さまにご迷惑をおかけしてしまいました」などとX(ツイッター)で詫びた。
桂浜水族館の投稿をめぐっては2日、「カワウソを吸う館長」とする写真が物議を醸していた。
「大きな不安やご心配をおかけしてしまいました」
桂浜水族館は「南国土佐の激情型水族館」を謳い、くだけた表現のSNS運用でも支持されている。8月中旬には、コツメカワウソの赤ちゃん5頭が生まれた。
9月10日の投稿では、「2023年9月2日に当アカウントが投稿しましたコツメカワウソに関する発信の内容において、不適切であるとご指摘をいただきました」とし、メッセージ画像で下記のように述べた。
「カワウソをはじめ生きものを愛する皆さまにご迷惑をおかけしてしまいましたこと、また、桂浜水族館を応援してくださっている方々に大きな不安やご心配をおかけしてしまいましたことを心よりお詫び申し上げます。
当館でも、カワウソ舎に設置しております掲示物や動画サイト等で、今日、カワウソが置かれている状況やさまざまな問題を取り扱い、警鐘を鳴らす取り組みを行っております。
今後も、カワウソだけでなく、人を含むすべての生きものが明るい未来で生きられるよう、当館だからこそできるアプローチを模索し、皆さまと挑戦し続けたいと考えております」
投稿時点で、「赤ちゃんたちは、日々体重を増やし、5頭とも元気に成長しております」。「中には目が開いた子もおり、首がすわって走るようになれば、カワウソ舎はまた賑やかなこととなるでしょう」とも伝える。
「応援してくださる皆さまと、『おらんくの水族館』として、創業100周年を目指し、邁進してまいりたいと考えておりますで、今後とも桂浜水族館を何卒よろしくお願い申し上げます」(原文ママ)
「ペットとしての飼育を助長する」抗議も
桂浜水族館が2日に投稿したなかには、「カワウソを吸う館長」とする写真2枚があった。
目が開いているか定かでない幼獣を両手で包み、自身の鼻のごく近くに寄せるポーズで写っている。手元に関してはネイルを施したうえで少なくとも3本の指輪をつけた状態だ。
投稿には「吸ってみたい」「羨ましいですー!」といった反応が出た一方、「ペットじゃないのに、なんのためにこんな事をするんだろう?」「野生動物をペット化するような紹介の仕方は、『水族館』として、適当とは言い難い」と厳しい声が上がった。
一部では、批判されるような内容ではないと反論も。ただ、装身具の着用に関しても問題視する声や、同館では5月に赤ちゃんカワウソ3頭が死んでいるため慎重にすべきなど様々な指摘がみられた。
ほかに「日本アジアカワウソ保全協会」(福岡県太宰府市)が6日、「カワウソは国際的な保全対象である野生動物です。過度なふれあいや、『ペットとしての飼育を助長するような情報発信』に当協会は抗議します」と投稿を寄せた。
協会は公式サイトで、コツメカワウソはワシントン条約・附属書Ⅰに掲載された絶滅の危機にある動物だとして、ペット需要に伴う密猟・密輸問題についても啓発している。協会理事はいずれもIUCN(国際自然保護連合)のカワウソ専門家グループ委員を務める。