子どもの虫歯を予防するため、親はスプーンやコップといった食器の共有を避けるべきとの情報が広まっているとして、日本口腔衛生学会が「科学的根拠は必ずしも強いものではありません」と注意喚起している。
ネット上では「もっと早く知りたかった」と関心を集めている。J-CASTニュースは9月7日、学会に取材し、詳細や乳幼児の正しい虫歯ケアについて聞いた。
関連性を否定する研究も
日本口腔衛生学会が8月31日に公開した文書では、離乳食開始により親と食器の共有が始まる生後5~6か月頃よりも以前から親から子どもに口腔細菌は感染していると説明し、「日々の親子のスキンシップを通して子どもは親の唾液に接触しますので、食器の共有を避けるなどの方法で口腔細菌の感染を防ぐことを気にしすぎる必要はありません」とした。さらに、「う蝕(編集部注:虫歯)は砂糖摂取や歯みがきなど様々な要因で起こるため、食器の共有と子どものう蝕の関連を調べる際にはそうした要因を考慮する必要があります。う蝕に関連する複数の要因を調べた日本の研究では、3歳児において親との食器共有とう蝕との関連性は認められていません」とし、食器共有と虫歯との関連性を否定した。
また、「親の唾液からう蝕の原因になるミュータンスレンサ球菌が子どもに感染するリスクを高める」と報道で触れられているものの、「う蝕の原因菌は、ミュータンスレンサ球菌だけではない」とした。
日本口腔衛生学会はJ-CASTニュースの取材に対し、ミュータンスレンサ球菌について「口の中に存在する細菌で、糖質から酸をつくり、歯をむし歯になりやすくします。また歯に菌が付着しやすくなるグルカンを作るため歯に付着しやすいです。そのため最も歯をむし歯にしやすい細菌と言われています」と説明。「ただし、ミュータンス連鎖球菌が存在しなくてもむし歯が発生することも知られています」と補足した。
X(ツイッター)ではこの文書に関し、
「気が楽になった」「もっと早く知りたかった」
「神経質にめっちゃ食器やお箸スプーン共有しないようにしていた過去の自分の努力、お疲れちゃん!」
などのコメントが寄せられている。