ジャニーズ事務所創業者のジャニー喜多川氏=2019年に87歳で死去=による性加害を初めて「実名、顔出し」の記者会見で訴えたカウアン・オカモト氏が2023年9月8日、東京・丸の内の日本外国特派員協会で記者会見した。
オカモト氏が特派員協会で会見するのは4月12日以来、約5か月ぶり。会社側が喜多川氏による性加害を認めて謝罪し、補償を表明する「3点セット」が実現したことで、オカモト氏は「僕自身、心が少し楽になりました」。経営体制が一新されたことなどを受けて「今、ジャニーズ事務所に僕からこれ以上何かを言うことはもうないと思う」とも話した。ただ、ジャニーズ事務所の名前を維持することについては「正直、びっくりしました」と批判した。喜多川氏と近いとされる東山紀之氏が社長に就任したことについては「苦肉の策」だとする見方を示した。
「ジャニーズ事務所」名称維持には「びっくりしましたね」
オカモト氏は冒頭発言で、
「今、ジャニーズ事務所に僕からこれ以上何かを言うことはもうないと思う。しかし、僕を含めた被害者の方々の心の傷はそう簡単に癒えることではないと心に刻んでいただきたい」
などと発言。4月の会見と同様、改めてジャニーズ事務所への感謝を口にした。
「僕自身はジャニーズ事務所という場についての感謝と、エンターテイメントの夢を見させてくれたジャニー氏を恨みきれない思いが、世間にグルーミングと言われても、今でもある。自分自身を認めるためにも、過去を全否定することはできない」
記者から事務所側の記者会見に対する評価を問われると、
「(事実認定や人事刷新など)重要なところがクリアになったので、僕自身としては、まあ言うことはない」
と繰り返した。ただ、「ジャニーズ事務所」の名前を維持する点には「びっくりしましたね」と異論を唱えた。「100(%)の可能性で変わると思っていた」オカモト氏にとっては予想外の出来事だったようで、
「ジャニーズ事務所としての功績や、夢を与えて人々を笑顔にした功績は消えることはないが、こんな風に全て(事案が)出てしまった中で、ジャニーズ事務所として、ジャニーズという名前を使い続ける、継続するということは、むしろマイナスなのかなと思う」
として、社名変更で心機一転を図るべきだとした。
「誰も社長やりたい人いないですよね、今」
新社長の東山紀之氏への評価も話題になった。会見終盤、記者から
「性加害を受けた事務所の方で、尊敬できる先輩がトップに立ってしまうということで、少し複雑だという意見とかが出ている」
という指摘が出た。東山氏は喜多川氏と近いことなどを念頭に置いた質問だとみられる。オカモト氏は「新社長...難しい質問ですね」と苦笑いした上で、「誰も社長やりたい人いないですよね、今」と続け、人事に一定の理解を示した。東山氏の経営者としての手腕を見守っていきたい考えだ。
「誰もやれない中で勇気を持って東山さんが出られたのかなと思う。彼もタレントで、タレントに罪はないと思ってるので、そこは、リスペクトを持って応援したい。ただ一方で、経営者として、本当に能力があるのかどうか、その辺は問われてくる」
その上で次のように話し、社名変更の必要性に改めて言及した。
「苦肉の策ではあると思うが、今後、社長が変わったりだとか、会社名が変わったりだとかいろんなことは今後変わっていってもいいと思う」
「何が一番人に、みんなにとって良い方向に行くかを考えながら、決めていってほしい」
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)