日本維新の会は2023年9月5日、音喜多駿政調会長(参院議員)を次期衆院選で東京1区(千代田区、新宿区)から擁立すると発表した。
東京1区は永田町や霞が関など日本の3権の機能が集まる地域で、各政党にとっては非常にシンボリックな存在。維新としては、知名度が高い音喜多氏で1区を制することで野党第1党奪取に向けた党勢拡大につなげたい考えだ。音喜多氏はオレンジをイメージカラーに活動してきたが、「日本維新の会を背負って挑戦する決意」を示すとして、党のイメージカラーであるグリーンに変更して選挙戦に臨むことも明らかにした。
「小選挙区での勝利、この先頭に立てるとすれば、私しかいないだろう」
19年の衆院選では東京1区から4人が立候補し、自民党の山田美樹氏が当選。衆院副議長を務める立憲民主党の海江田万里氏と維新の小野泰介氏の2人が比例東京ブロックで復活当選していた。山田、海江田の両氏は次期衆院選も1区から出馬する見通しだが、小野氏は衆院小選挙区の「10増10減」で区割りが変わる7区(港区、渋谷区)への転出を表明していた。そのため、維新が1区に誰を擁立するかが焦点になっていた。
音喜多氏は記者会見で、東京1区から出馬する理由について
「維新は勢いがあるとはいえ、東京や、あるいは東日本では、まだまだ厳しい戦いが強いられている。しかし、比例票をどれだけ出しても、小選挙区の議席を獲得できなければ、野党第1党を獲得することはできない。その小選挙区での勝利、この先頭に立てるとすれば、私しかいないだろう、こうした自負や思いもある」
などと説明。イメージカラーの変更についても次のように話した。
「次の選挙は日本維新の会にとっても、大変大きな正念場になる。私は、今回は日本維新の会を背負って挑戦するその決意を示すためにも、維新のカラーであるグリーンを今後は基調として政治活動を続けていき...」
ここまで話したところで、隣に座っていた柳ケ瀬裕文総務会長(参院議員)が、音喜多氏のネクタイの色がオレンジになっていることを指摘。音喜多氏は
「これは『差し色』で...。緑のネクタイ似合わないって、散々言われたんですよ」
と釈明し、改めて
「オレンジはポイントとして使っていくが、この党のカラー、維新のグリーンを掲げて東京1区で、必ず維新の旗を打ち立てる」
と話した。
会見終了後に配られたビラのデザインは...
もっとも、グリーンへの全面移行には時間がかかる可能性もありそうだ。記者会見終了後、記者には音喜多氏の東京1区転出を知らせるビラが配られたが、そのデザインはオレンジを基調とするものだった。
関係に亀裂が入っていた自民と公明は、東京での選挙協力を再開することで合意したばかり。音喜多氏は、この点は「想定の範囲内」だとみており、
「これ(自公の協力関係)が壊れたままで選挙に行くということは誰も思ってなかったと思う」
と話した。
音喜多氏は13年の東京都議選で初当選し、都議を2期務めた。「都民ファーストの会」初代東京都議団幹事長を務め、一時は小池百合子都知事を側近として支えたが、後に離党。19年の参院選で東京選挙区から日本維新の会公認で出馬し、初当選した。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)