子育て世帯の負担感、昨年ごろから強まる
現状、物価上昇のあおりも受けている。浜銀総研が6月末に発表した「赤ちゃん物価指数」は各メディアに注目された。遠藤氏が第一子誕生に伴いベビー用品の値上がりを実感し、子育て世帯の負担感の強まりを数値で示す狙いで作成したという。
消費者物価指数のうち粉ミルク、紙オムツ、乳児服、人形、玩具自動車が抽出された指数だ。
リリース時の最新データにあたる5月の数値は、消費増税の影響があった15年1月以来の高い伸びだったと報告されている。遠藤氏によると、6月に至っては赤ちゃん物価指数が前年比で9.3%増。消費者物価指数の3.3%増と比べて3倍弱の伸び率になった。
「やはり赤ちゃんを育てている世帯の負担感は強いんだろうなと。特に昨年くらいから強まってきているんだろうなということが読み取れる」
1年間ほどは比較的高い伸びが続くという。メーカーが価格転化する動き自体は悪くないとするも、賃上げが追い付いておらず、消費全体が縮小する可能性が懸念され、育児のコスト増が少子化に拍車をかけるリスクも考えられると述べた。
オムツの使用量を調整するのが難しいように、ベビー用品は「節約したくても出来ない」側面があるという。子育て世帯の事前準備は重要として、赤ちゃん物価高騰には政府や自治体の対応が求められると遠藤氏はいう。
「『異次元の少子化対策』という枠組みではなく、物価上昇対策としてすぐにやれるものをやってほしい」と、オムツや粉ミルクの現物支給あるいはクーポン配布といった対策を提言した。
「何よりもスピーディーに、赤ちゃんにとっての必需品というのを消費者に、赤ちゃんを育てている世帯に届けるということが、重要なのかなと思います」