「氷河期のツケが回ってきているのは確か」
中堅層の学芸員が不足していることについてりんふぁんさんは、実感としても中堅層の学芸員は少ないとした。
「氷河期のツケが回ってきているのも確かだと思いますよ。40代半ば~50代半ばくらいの学芸員がごっそり抜けているような感覚は確かにあるんです。その世代は今よりもずっと学芸員募集が少なかったという話もよく聞きます。この年代で今も学芸員をしている人は本当に優秀な人が多いです。離職していったというより、そもそも採用が少なかった背景はあると思います」
りんふぁんさんは学芸員の雇用状況は変わってきているとしつつも、問題点はあるとした。
「2023年現在の学芸員募集はかなり多いです。10年前20年前は『学芸員=募集が少ない、採用されるのが難しい』というイメージがありました。『イメージ』はともかくとして、その現実は今まさに変わりかけているところです。
ご想像の通り『なりたい人は学芸員になれる』といった明るい意味ではありません。大学院まで出て費やした労力ともらえるお金や待遇がそぐわないということに不満を抱く学芸員が多い(=ポストが空く)からです。
問題なのは、『目指す人が少ない』点ではなく『辞める人が増えてきている』という点ではないかと個人的には思っています」
金沢芸術創造財団は学芸員のなり手不足の原因について、「そもそも人材の絶対数が不足していることも原因にあるかもしれません」と回答した。