第105回全国高校野球選手権記念大会での慶応義塾高校(横浜市港北区)の優勝を祝うセレモニーが2023年9月1日、横浜市役所(同中区)と神奈川県庁(同)で相次いで開かれ、多くの市民が107年ぶりの快挙をたたえた。
チームは、今回の優勝で広く知られるようになった「エンジョイ・ベースボール」以外に「高校野球の常識を変えたい」というスローガンを掲げて戦ってきた。主将を務めた大村昊澄(そらと)選手は、「自分たちの野球は、髪が長いとか、笑顔でやってるとか、そういうふうに見られると思う」と振り返った上で、「自分たちが一番伝えたかった」こととして「いろいろな高校野球の形があっていい」点をあげた。多様なチームが参加することで「もっともっと高校野球が盛り上がっていけばいい」と話した。
「エンジョイ・ベースボール」が「流行語大賞になるんじゃないかと」
横浜市内の高校が夏の甲子園で優勝するのは98年の横浜高校(同金沢区)以来25年ぶりで、横浜市の山中竹春市長は「横浜市、そして日本人を大いに盛り上げてくれた」と称賛。チームのテーマ「エンジョイ・ベースボール」に触れて
「今年の流行語大賞になるんじゃないかと期待しているんですが、そのぐらい盛り上がりましたよね」
とねぎらった。
森林貴彦監督は
「皆様のすべての応援のエネルギーが甲子園のグラウンドに降り注いで、私達の実力以上の力が出せたのではないか」
と振り返り、市民から多く寄せられた「おめでとう」「ありがとう」といったお祝いの言葉について、「今日は私から皆様に、この言葉をそのままお返ししたいと思います」。その上で
「本当に応援ありがとうございました。そして横浜市民の皆様、おめでとうございました」
と結んだ。
引き続いて県庁で行われたセレモニーでは、黒岩祐治知事が、部員が森林監督のことを普段から「森林さん」と呼んでいることに驚いたというエピソードを披露。やはり「エンジョイ・ベースボール」にからめて、
「今回優勝した、このことだけではなく、そういった新しい野球の姿、『野球を楽しむんだよ』という、新しい野球の文化そのものを生み出してくれたのでは」
と話した。
「少しでもいろいろな校風の学校、いろいろなチームカラーの学校が増えて...」
最後に大村選手が、「高校野球の常識を変えたい」というスローガンに言及。このスローガンを通じて「自分たちが一番伝えたかった」ことについて、次のように話した。
「自分たちの野球は、髪が長いとか、笑顔でやってるとかそういうふうに見られると思うんですけど、それだけじゃなくて、自分たちが一番伝えたかったのは、いろいろな高校野球の形があっていいということを伝えたくて...。坊主の学校もあっていいし、自分たちみたいに髪が長い学校があってもいい」
その上で、多様なチームが参加してさまざまな人に応援してもらえるのが「本来の高校野球のあるべき姿」だと訴えた。
「いろんな学校があって、いろんなチームがあって、それが甲子園の地に集まって高いレベルで野球をする、いろんな人に応援してもらう、それが本来の高校野球のあるべき姿だなというふうに思っています。これからも自分たちの戦いぶりを見て、少しでもいろいろな校風の学校、いろいろなチームカラーの学校が増えて、もっともっと高校野球が盛り上がっていけばいいなというふうに思っています」
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)