プロボクシングの世界6階級制覇王者マニー・パッキャオ(フィリピン、44)が、24年パリ五輪に出場し金メダル獲得を目指す。2023年8月30日に複数のフィリピンメディアが報じた。44歳にしてアマチュアの頂点を目指すレジェンド。悲願は達成できるのか。J-CASTニュースはTMKジムの金平桂一郎会長(57)に分析してもらった。
「パッキャオらしい良いチャレンジ」
フィリピンメディア「ABS-CBN」(WEB版)によると、フィリピン・オリンピック委員会(POC)のエイブラハム・トレンティーノ会長は「パッキャオ陣営から連絡があり、パリ五輪に出場したいとのことだった」と明かした。陣営は「パリ五輪で金メダル獲得を目指し、伝説的なボクシング選手としてのキャリアをさらに伸ばしたい」との意向を示したという。
五輪ボクシング競技は16年のルール改正によりプロ選手の参加が認められ、16年リオデジャネイロ五輪には元IBF世界フライ級王者アムナット・ルエンロン(タイ)が出場した。パリ五輪の出場権を得るためには国内、アジア予選を勝ち抜く必要があり、記事によると来年上半期に予定されている2つの予選会に出場する見込みだという。
フィリピンボクシング連盟(ABAP)は、パッキャオをナショナルチームに迎え入れ出場権獲得を支援する。階級はライトウエルター級(63.5キロ)もしくはライトミドル級(71キロ)を考えているという。
金平会長は五輪挑戦に関して「パッキャオらしい良いチャレンジだと思います」と前置きし、プロとアマチュアの違いを説明しながら課題を挙げた。
「厳しい道のりであることは間違いない」
「同じボクシングでもプロとアマチュアでは別の競技といっていいほど競技スタイルが異なります。ラウンド数、採点基準も違います。プロの世界戦は12ラウンドですが、アマチュアは3ラウンドと短く、これにアジャストしていくのは難しい。全く通用しないということではなく、あまり時間がない中でアマチュアの競技スタイルに即したトレーニングをいかに集中的に行えるかが課題になるでしょう。厳しい道のりであることは間違いないと思います」
さらに「アマチュアの選手がいきなりプロの世界戦で勝てないというのはラウンド数の違い」とし、「12ラウンドを戦うスタミナがないわけではなく、スタミナ配分がうまくできない。逆にラウンドが短くなれば問題ないかといえばそうではない。短いラウンドを全力疾走しないといけない。試合が終わるころにようやくエンジンがかかってきたというようなことが起こりえる」と説明した。
パッキャオは21年8月に行われたプロの試合を最後に現役引退。22年12月にはエキシビションマッチに出場し元気な姿を見せた。
金平会長は「夢があるのは、アジア予選で日本人選手と対戦する可能性があるということ。そういう楽しみもある。パッキャオほどの選手がどれほどのパフォーマスができるのか。年齢のこともあり厳しいだろうと皆思うかもしれないが、それを乗り越えてもらえたら夢がある」と語った。