ジャニーズ事務所が設置した「外部専門家による再発防止特別チーム」が2023年8月29日の記者会見で、ジャニー喜多川前社長(享年87)による性加害を認めたほか、マスメディアの責任を指摘した。これを受け、民放テレビ各局は8月30日までに、特別チームの調査報告書について声明を発表している。
しかし29日夕の時点では、同日の会見を中継した各番組のうち、メディアの責任について積極的に言及しない情報番組がみられた。特別チームがメディアの責任を指摘するさなかに中継を終了する番組もあり、SNSでは驚きの声も上がっている。
「多くのマスメディアが正面から取り上げてこなかった」
会見や調査報告書では、ジャニー氏の性加害が起こった原因として、(1)ジャニー氏の性嗜好異常(2)姉の故メリー喜多川氏による放置と隠蔽(3)ジャニーズ事務所の不作為(4)被害の潜在化を招いた関係性における権力構造――を挙げた。
背景には、(1)同族経営の弊害(2)ジャニーズJr.に対するずさんな管理体制(3)ガバナンスの脆弱性――などを挙げ、その1つに「マスメディアの沈黙」があると指摘し、「多くのマスメディアが正面から取り上げてこなかった」と述べている。
これを受け、民放各局は30日までに、公式サイトで声明を発表した。例えば、日本テレビは「性加害などの人権侵害は、あってはならないという姿勢で報道してまいります」とコメントし、テレビ朝日は「調査報告書に盛り込まれたマスメディアに対する指摘を重く受け止め、今後ともかかる取り組みを真撃に続けてまいります」などとしている。
一方、29日夕の会見と同じ時間帯に放送されていた各報道番組では、会見の中継時間や「マスメディアの沈黙」に関する取り上げ方に差があった。