ジャニーズ事務所創業者として知られるジャニー喜多川氏=2019年に87歳で死去=による性加害問題をめぐる動きは、英BBCが2023年3月にドキュメンタリーを放送したことで急展開した。
事務所が設置した外部の専門家による「再発防止特別チーム」が8月29日に発表した調査報告書では、ジャニー氏が「長期間にわたって広範に性加害を繰り返していた」事実を認定。再発防止策の一環として、藤島ジュリー景子社長の辞任を求めた。BBCも8月30日朝のニュースで、調査結果を報道。オンラインで出演した識者は、事案が日本社会と密接に絡んでいる点を指摘した。
30分番組で3分40秒取り上げる
BBCは朝の30分ニュース番組「ニュースデイ」(日本時間で9時台)の終盤、3分40秒かけて調査結果について報じた。調査結果の概要以外に、BBCが3月に放送した番組「J-POPの捕食者 秘められたスキャンダル」(Predator: The Secret Scandal of J-Pop)をきっかけに、被害を名乗り出た人が相次いだことにも言及した。
3分40秒の大半が、キャスターの大井真理子氏と、音楽誌「ビルボード」アジア特派員のロブ・シュワルツ氏との掛け合いだ。シュワルツ氏は、特別チームがジュリー社長の辞任を求めたことは「非常に重要なこと」だとする一方で、重要な点として
「この問題全体が日本社会といかに密接に絡み合っているか」
を指摘した。性加害問題は1999年に週刊文春が報じたが、「後追い」は皆無に近かった状況だ。シュワルツ氏の言葉を借りると「基本的に日本の他のメディアは報じなかったし、警察も捜査しなかった」。今回の性加害事案は「社会全体の隠蔽工作(society-wide cover-up)」だという認識が広がっている、と指摘した。