プロボクシングの世界3階級制覇王者でWBO世界スーパーバンタム級3位ジョンリル・カシメロ(フィリピン、34)が2023年10月12日に東京・有明アリーナで元IBF同級王者・小國以載(角海老宝石、35)と対戦することが決まった。主催者が8月28日に発表した。
「カシメロ選手の優位は否めない」
スポーツ紙などの報道によると、カシメロは主催者を通じて「井上尚弥をぶっ倒す前にもう1度、日本人を赤穂と同じ結果にするよ。その次は井上だ」と猛アピールしたという。カシメロは元世界王者を倒してWBC・WBO世界スーパーバンタム級王者・井上尚弥(大橋、30)と対戦することができるのか。J-CASTニュースは、TMKジムの金平桂一郎会長(57)に分析してもらった。
カシメロはWBO世界バンタム級王者時代の22年4月に英国でポール・バトラー(英国、34)との防衛戦を予定していた。ところが試合直前にサウナを使用して減量を行ったことが英国ボクシング管理委員会の医療ガイドラインに抵触し、世界戦が中止となった。事態を重く見たWBOは5月にカシメロの王座をはく奪した。
無冠となったカシメロは階級を1つ上げスーパーバンタム級に転向。22年12月に韓国でスーパーバンタム級の世界ランカーだった赤穂亮(横浜光、37)と対戦して2回KO勝利。今年5月にはスーパーバンタム級のWBO地域王座を獲得した。
一方の小國は16年12月にIBF世界スーパーバンタム級王者ジョナサン・グスマン(ドミニカ共和国)を破り王座獲得。17年9月の初防衛戦で岩佐亮佑(セレス)に6回TKO負けを喫し王座から陥落した。18年12月に再起して以降2勝1分け。最終試合は22年5月で、4回負傷引き分け。
金平会長は「カシメロ選手の今の状況や勢い、小國選手の近年の試合数などを考えるとカシメロ選手の優位は否めないと思います。小國選手はカシメロ選手に勝てばもう1度浮上できるということでモチベーションが高いと思いますが、カシメロ選手も井上選手を見据えているのでモチベーションが高いでしょう」と分析した。
「顔見せ興行という位置付け」
多くの世界戦をプロモートしてきた金平会長は、プロモーターの立場からみて今回日本初上陸となるカシメロ陣営の思惑に言及した。
「カシメロ陣営は井上戦の前哨戦としてこの試合を捉え、日本のボクシングファンに対しての顔見せ興行という位置付けだと思います。来年のどこかで井上戦を考えているでしょうからここでアピールしておきたいところ。カシメロ選手は日本での知名度が高いので注目の一戦になると思います」
現在スーパーバンタム級の世界王座は、WBCとWBO王座を井上が保持し、WBAとIBF王座をマーロン・タパレス(フィリピン、31)が持っている。両陣営とも対戦に前向きで年内にも4団体統一戦が行われる見込みだ。
金平会長は「来年、井上選手とカシメロ選手が対戦する可能性はあると思います。ただ(ルイス)ネリ選手がWBCの指名挑戦権を持っているので、順番的にはネリ選手が先になるかもしれません。いずれにせよカシメロ選手は井上選手の有力な対戦候補のひとりであることは間違いないと思います」と語った。