玉木雄一郎代表と前原誠司代表代行による国民民主党の代表選(2023年8月21日告示、9月2日投開票)の論戦では、政権交代や野党連携への考え方の違いが際立っている。そんな中、8月24日に「ニコニコ」主催で行われた「候補者ネット討論会」では、2人の見解が完全に一致する場面があった。
仮に自民・公明が過半数割れし、共産党と連立を組めば政権交代が可能に...となった場合の対応だ。2人は自衛隊や憲法への考え方の違いを理由に「組みません」「絶対組みません」と即答した。
「そんな国家像が違う、自衛隊は憲法違反で日米安保破棄だと言っている政党と...」
玉木氏は他党との候補者調整には否定的な立場。「穏健な多党制による政権交代」を通じて「新しい連立政権の一角を占めることができる」状況を目指す。連立相手に自民党が含まれるかは明言を避けている。対する前原氏は「非自民・非共産」で、政策の一致を前提に他の野党と連携した上での政権交代をうたっている。
では、「共産党と組めば政権交代できる」となれば、どうするのか。討論会では、司会の七尾功氏が、そんな疑問を投げかけた。
「例えば自公が過半数割れして、例えば野党で連携、連立するときに、どうしてもやっぱり共産党と連立しなければいけない、というケースもあると思う。言い方を変えると、共産党とも連立したら野党政権が樹立すると...、こうした場合でも、共産党とは組まないんですか?」
前原氏は「組みません」。仮に組んだとしてもすぐに瓦解(がかい)する、というのがその理由だ。
「そんな国家像が違う、自衛隊は憲法違反で日米安保破棄だと言っている政党と連立組んだら、もう、すぐに瓦解しますよね」
むしろ、自公が過半数割れすることで自民党の中に起きるであろう「化学変化」、つまり、自民党を飛び出してくる「中道保守の改革勢力」との連携に期待を寄せていた。
「自民党の中でも、やっぱり人気はあるけども、なかなか自民党の力学の中で総理になれないという方は...誰か想定できる人いますけど...おられますよね?いろいろと私は化学変化が起きてきて、むしろそういった中道保守の改革勢力の中で、いろんな動きが出てくる。そのためにも我々は頑張り続けなきゃいけない」
「これ、絶対国家守れませんから」
玉木氏も「絶対組みません」。やはり、自衛隊と憲法の関係を理由に挙げた。
「自衛隊は、違憲だという意見でいいんですよ。違憲なんだけど、だから『憲法を変えよう』といくんじゃなくて『憲法に合わせて自衛隊をなくそう』というふうにいくでしょ?これ、絶対国家守れませんから」
画面に出たコメントには「志位が泣きながらピアノ弾いてるぞ」という声も。共産党の志位和夫委員長がピアノを特技にしていることにからめたコメントだ。
前原氏の「非共産」は以前からの持論だ。共産党の小池晃書記局長は8月21日の記者会見でこの点を問われると、次のように訴えた。
「なぜ『非共産』とおっしゃるのか、その理由が全く分からない。自民党と対決する、自民党政治を終わらせるというふうに前原さんがおっしゃっているわけで、自民党政治を終わらせるのであれば、やはり共産党という存在が不可欠」
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)