「法廷ではなく、なるべく話し合いで解決したい」
中村代表は、「愛すべき阿夫利の名を少しでも汚す事の無き様、法廷ではなく、なるべく話し合いで解決したい」と考えていたという。吉川醸造の代表取締役である合頭義理さんと話し合いを重ねたが、「対話を尽くした上で、本当にやむなくですが裁判所の判断を仰ぐ事にした」と述べる。
「例えば、『雨降』と書いて、『UKOU』と読ませるのはいかがですかと。そうすれば、阿夫利山は、元々は『雨降り山』から転じていると我々と同じルーツである事を伝えられるし、海外のAFURIの店舗でも吉川醸造さんの日本酒を同じ水源の仕込み水を使っている同郷の日本酒として全面的に推せますし。共にタッグを組んで世界に打って出ましょう!などなど、様々な提案をしましたが、結局受け入れては頂けず平行線で終わってしまって」
AFURI社ではコーヒーやクラフトビールなど様々なプロジェクトを準備しており、対話を続ける中で「自分は傲慢なのだろうか」と自問自答を繰り返していたという。
「でも、何度考えても、我々はビジネスのルールに則った正当な手続きを踏んでるだけなんですよね。毎朝、お水を変えてご挨拶をしている阿夫利神社の神様のお札の前でも、『おれ胸張って居られるな』と思うんですけどね。 どうなんでしょう?私、間違ってるでしょうか?」
SNSでは地域名称である「あふり」を独占することについて批判的な声が多いとしながらも、「新しいビジネスを始める際に、為すべきプロセスとして必要な分だけ商標を取得している」と反論する。商標の取得には金銭がかかるうえ、網羅的に独占する意図はなく、「商標ゴロみたいな無粋なことはしたくない」などと訴える。また「八海山」や「高千穂」なども商標としての登録があると例を挙げる。
中村代表は幼いころから阿夫利に親しんできたとして、次のように述べた。
「今回の件は、全くポジティブなカタチではないけれど、皮肉にも阿夫利山がメジャーになってきたことの証左であると、阿夫利山を愛してきた一人の男として、なんとも複雑な気持ちです」
AFURI社としての声明は、25日か26日ごろに弁護士、弁理士と打ち合わせの上で早急に掲出するとしている。