立憲民主党の泉健太代表は2023年8月25日の定例会見で、東京電力福島第1原発で出た処理水の海洋放出が始まったことについて、漁協の理解を得られていないことなどを理由に「間違っている」と改めて批判した。
一方で、中国が日本を原産地とする水産物の全面禁輸を決めたことについては「もう本当によく分からない措置になっている」。「科学的根拠、冷静さ」を欠くとして、撤回を求めた。
「中国の国民が日本の海産物を食べられなくなる。それはむしろ『残念ですね』」
政府と東京電力は15年、福島県漁業協同組合連合会に対して文書で「関係者の理解なしには、いかなる処分も行わない」とする方針を示していた。泉氏はこの点を念頭に、
「その約束を果たさず、漁協も賛成はできない、反対という姿勢を変えないという状況のまま放出に至ったということは、我々としても大変遺憾。この政府のやり方は間違っているというふうに、改めてお話しをしたい」
と批判。岸田文雄首相は、議論から「逃げる力」ばかりが発揮されている、と指摘した。
一方で、中国側は「もう本当によく分からない措置になっている」とも。「科学的根拠や冷静さを欠く措置」だとして、「強く抗議するし、中国政府は速やかにこの措置を撤回すべき」だとした。
中国政府が処理水を「汚染水」と表現していることについては、日本の国民に大きな影響を与えることはないとの見方を示した上で、
「中国の国民が日本の海産物を食べられなくなる。それはむしろ『残念ですね』ということではないか」
と述べた。
「党としての見解は既に固まっている。党としては『処理水』であると考える」
党内には、処理水について「汚染水」と表現し、安全性に問題があるとして放出に反対している議員もいる。例えば阿部知子衆院議員はX(旧ツイッター)で「処理汚染水」と繰り返し発信している(8月25日朝には「ALPS処理水」と表記)。この点については次のように話し、党としては「処理水」だとする立場を繰り返した。
「岡田(克也)幹事長から注意がすでになされていると私も認識している。日本の政治家ですから当然、それはどの党においても、政党所属の国会議員とはいえ、1人1人の国会議員が様々な見解を持つということそのものは、即座に否定されるべきものではないと思っているが、党としての見解は既に固まっている。党としては『処理水』であると考える」
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)