東京新聞はカギカッコつきの「処理水」
放出に批判的な朝日、毎日が共通して掲げたのは「責任」という単語だ。朝日は「政府と東電に重い責任」の見出しで、
「政府と東電は内外での説明と対話を尽くしつつ、安全確保や風評被害対策に重い責任を負わなければならない」
と主張。毎日は「誠意欠いた政治の無責任」の見出しで、「誠意ある対応を尽くしたとは言いがたい」と政府の対応を批判する一方で、
「処理水は今も日々90トンずつ増えており、このままでは廃炉作業の支障になりかねないのは事実だ。政府・東電には、計画を安全に遂行する重い責任がある」
とも論じ、放出の必要性にも言及した。両紙とも明示的に放出の中止を求めることはしなかった。
東京新聞は、処理水を「処理水」とカギカッコつきで表現。
「海洋放出の実施については、まだまだ説明と検討が必要だということだ」
「拙速な放出開始は将来にさらなる禍根を残す」
と反対姿勢を鮮明にした。
政党の間でも立場は割れている。自民、公明の与党と、野党のうち日本維新の会と国民民主党は、放出に理解を示す立場だ。
立憲民主党は放出をめぐって閉会中審査を求める考えで、長妻昭政調会長は8月24日午前の会見で、
「科学的には決着がついているというふうに思う」
とした上で、
「安全と安心というのは異なる概念。つまり風評被害のところ、これを心配しているというのが私どもの立場」
と述べた。
共産党、社民党、れいわ新選組は「汚染水」という用語を用いて、放出に反対してきた。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)