日本酒「雨降(あふり)」を手掛ける吉川醸造(神奈川県伊勢原市)は2023年8月23日、商標「AFURI」をめぐり、ラーメンチェーン店AFURIに提訴されたと発表した。
「訴訟に至ったことは誠に残念です」
吉川醸造の発表によれば22年8月、日本酒「雨降」がAFURI社の商標権を侵害しているとする文書が寄せられた。
「文書の大意としては、"AFURI"と記載した当社商標の使用はAFURI社の著名性にフリーライドしその商標権を侵害するものであり、商品を全て廃棄処分すること等を要求するものでした」
両社の弁護士を交えた協議を重ねてきたが最終的に不調に終わったため、AFURI社は吉川醸造に対し、商標の使用差止や損害賠償等を求めて東京地方裁判所に提訴を行ったとしている。
「雨降」の由来については、次のように説明する。
「『雨降(あふり)』銘柄は、丹沢大山の古名『あめふり(あふり)山』と、酒造の神を祀る近隣の大山阿夫利神社(以下『阿夫利神社』といいます)にちなんで命名したものであり、ラベル『雨降』の文字も阿夫利神社の神職に揮毫していただいたものです」
雨降の読み方としてローマ字で「AFURI」と記載していること、また「阿夫利」は地域・歴史・文化に根差した名称であると主張する。こうした背景から雨降がAFURI社の商標権を侵害するものではないと理解を求めてきたが、「訴訟に至ったことは誠に残念です」と述べる。
AFURI社は過去に清酒に関する商標を登録済み
吉川醸造は、同じように「あふり」に関する名称を持つ事業を営む他の企業からも不安の声が寄せられたとして、今回の情報を開示したという。最終的な判断は司法の場に委ねるとして、関係者に謝罪した。
「阿夫利神社の皆様をはじめ、地域の方々やお取引先の皆様には大変ご心配をおかけし申し訳ございません」
特許情報プラットフォームを参照すると、AFURI社は2010年3月に「AFURI」のロゴマークを出願し、同年7月に登録された。その後も「AFURI\阿夫利」「あふり」「AFURI」「阿夫利」など様々な商標を登録している。20年4月には清酒が含まれる区分33で「AFURI」の商標を登録している。
吉川醸造は23年3月に「§雨降∞AFURI」を出願し、現在は審査中となっている。