「部数・視聴率を優先」「それでいいのか」 100年前の福田村事件、映画化で森達也監督が「悩む記者」描いた理由

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100年間で向上してきたリテラシーは「プラスマイナスゼロ」に

   「福田村事件」が再び起きる可能性について問われた際も、メディアのあり方が話題になった。森監督は、日本人の集団性の高さと「個」の弱さに触れて、

「高度経済成長とか、そうしたポジティブな部分もある。でも、これがネガティブな方向に向かったときは、また同じような大きな過ちを起こしてしまうのではないか」

と指摘。その上で、100年間で向上してきたリテラシーがネットメディアの台頭で相殺されて「プラスマイナスゼロ」になり、虐殺事件が起きる温床は「全く今も同じ状況」だと主張した。

「もちろん100年前は、メディアは新聞しかなかった。識字率も高くないから、ほとんどの人がメディアをよく分かっていなかった。今は、その時代に比べればリテラシーはずいぶん身についた。でも、これだけメディアがネットも含めて、進化してしまった。プラスマイナスゼロだろうと思っている。ということは、あのような規模で起きることはさすがにないにしても、同じようなことは起きるのでないか。現に今、ヘイトクライム、ヘイトスピーチが起きている、日本のあちこちで。だから、そういう意味では全く今も同じ状況だ」

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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