個人情報を容易に見られる環境にしていたことに法的責任は?
では、四谷大塚が個人情報を一講師が容易に見られる環境にしていたことに法的責任はないのか。正木弁護士によると、塾の運営に必要があったのであれば特に問題はないという。
「塾の一講師がどこまで塾生の個人情報を知る必要があるのかについて争いはあるでしょうが、指導内容の報告や帰宅時の安全管理等から一般的に必要性が認められるのではないでしょうか」
問題があるのは個人情報を漏洩していることで、漏洩自体が不法行為だと指摘する。男性講師には「情報漏洩についての損害賠償責任が発生し得る」といい、四谷大塚も「その責任を使用者として負う可能性があります」とする。
「四谷大塚は大規模な学習塾であるため、塾生等の個人情報をパソコンのシステム等で管理していると推測し、個人情報取扱事業者(個人情報保護法16条2項)に当たる可能性が高いです。そのため、個人情報保護委員会から情報管理について報告を求められたり(同法146条1項)、是正措置の命令を受けたりする可能性があります(同法148条)。この命令等に従わない場合、罰則もあり得えます(同182条)」
「四谷大塚は社内ルールで個人情報保護に関する基本方針を定めており、その内容を見ると社内利用者アクセスの管理や情報漏洩等発生時の体制整備を行っているようですから、それがどれほど機能していたのか気になるところです」