外出自粛中16万字の小説執筆→2作目でデビュー&重版 「冗談みたいなペースでここまで来た」コロナ禍が生んだ作家の素顔

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「いつか何かをやり遂げるやつだと思っていた」友人とのエピソード

   デビュー作「復讐は合法的に」(応募時の『ゴールデンアップル』から改題)は、弁護士資格と法律知識を活かして「合法復讐屋」を営むエリスを中心とする物語だ。帯ではエリスの次のセリフが紹介されている。

「本当に覚悟はあるの?うちが提供してるサービスって――
法律の範囲内だけど、道徳の範囲外よ?」

――物語の発案のきっかけになった物事はありますか?

三日市さん:第1話は、6年付き合った彼氏に手酷く裏切られたOL・麻友の復讐が主題です。現実に見聞きした話をもとに書いているので、正直、友人らには勧めにくいですね。もちろん元カレ側の悪行はかなり盛っていますが...。この酷い男を始末する方法はないかと考えた結果、エリスのキャラが生まれました。
多くの復讐ものはバイオレンスに寄りがちです。すっきりはするけど、読んでいて疲れることもあります。少女漫画でよくある「もっと良い人と結ばれる」という展開も、根本的な解決にはならない。そこで、復讐の方法を知略に寄せて軽やかな展開になるよう工夫しました。

――謎解きの趣味は執筆に繋がりましたか。

三日市さん:文章を書いた経験は特にありませんでしたが、推理小説はトリックなど謎の設定が大事ですし、文体も作家によって様々です。謎がきちんとしていれば書けるのではないかと考えました。ただ、いきなり書き始めるのもハードルが高かったので、まずはメモから始めました。
私自身も謎解きを作るのが好きだったので、その延長だったと思います。実は二個さんの誕生日に、自作の謎解きを用意したこともあります。一応、言い訳すると二個さんも謎解きが好きなので、無理やりではないです。天気が悪かったため雨の中、上野公園を歩き回らせることになってしまいましたが...。

――二個さんに執筆活動を相談されたきっかけは。

三日市さん:書き始めたころはハイテンションになっていたので、週末の睡眠時間を削りながら執筆を続けていました。これは良くない、働きながら執筆を続けるにはどうしたらいいのかと、相談しました。
小説の内容を相談することはありませんでしたが、選考が進んで心が浮き沈みした時には、電話などで励ましてもらっていました。二個はとてもいいやつです。仕事はできるし社交性もあるし頭の回転も速い。現実的なアドバイスをくれるし、執筆については同人の経験から面白い話を聞かせてくれました。

   二個さんは三日市さんについて、頭の回転と記憶力が良く、凝り性な気質もあるとして、次のようなエピソードを伝える。

二個さん「若いころ一緒にイタリア・フランス旅行をした時、三日市さんが美術史に凝っていたのと『ダ・ヴィンチ・コード』を観たばかりだったので、行ける範囲のすべての美術館と聖地の場所をピックアップしていました。導線をととのえ分刻みのタイムスケジュールを組んでくれたんですが、単に美味しいご飯を食べたいだけの私とはケンカになってしまいました...笑」

   三日市さんのデビューについては、次のように受け止めた。

二個さん「『ついに来たか!』と思いました。初手16万字から2年半ですごい!
長い付き合いなので『いつか何かをやり遂げるやつだ』と思っていたので、実際に発売になると聴いた時は驚きよりも妙な納得感がありました。
最初のツイートでは友人はもちろん、知らない方から優しいコメントをいただいて、それが繋がって、頑張れて、作家にまでなってしまう...人生っておもしろいことが起こるんだなあと感じています。
内容もプロトタイプから読んでいましたが、宝島社の編集さんと二人三脚でパワーアップした内容で、純粋に楽しませてもらいました!
プロとなると苦労やプレッシャーは想像もつかないですが、初手16万字を書き上げたあの火の玉のようなモチベと楽しさをずっと忘れないで活躍してほしいです!」
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