外出自粛中16万字の小説執筆→2作目でデビュー&重版 「冗談みたいなペースでここまで来た」コロナ禍が生んだ作家の素顔

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気づいたら4万字越えの「メモ」が出来上がっていた

――三日市さんのプロフィールをお聞かせください。

三日市さん:1987年生まれで今年36歳になります。趣味は、旅行、読書、謎解きなどです。コロナ前の休日は年に1、2回は海外旅行に行っていました。謎解きについては、家で解くパズルは好きですし、休日は「リアル脱出ゲーム」に出かけることも多かったです。

――謎解きが趣味とのことですが、推理小説にご興味は。

三日市さん:本格的に読み始めたのはコロナ禍になってからです。以前は、シャーロック・ホームズといった著名な作品も、漫画やドラマであらすじを知っている程度で、原典の小説にはほとんど触れてきませんでした。推理小説で読んでいたのは、ドラマで見ていた東野圭吾さんの「ガリレオ」シリーズぐらいだと思います。

――なぜ推理小説に興味を持ち、自らも執筆するようになったのでしょうか。

三日市さん:2020年にコロナが流行り始め、仕事はリモートワークになり、旅行にも行けなくなってしまいました。謎解きイベントも軒並み中止になり、家でできる趣味が欲しいと感じ、読書を始めました。20代のころはビジネス書を中心に読んでいましたが、ネットのレビューを参考に、ある推理小説を読んでみることにしました。
それは「叙述トリック」を用いた小説で、「記憶を消して読みたい本ランキング」などに入る有名作でした。叙述トリックは、読者の先入観や思い込みを利用してミスリードを誘い、オチですべてが分かる仕組みになっています。そのためにネット上にはネタバレが一切なく、逆に興味を持って読み進められました。
読み終えて「やられた!」「おもしろい!」と感じ、すっかり推理小説に夢中になってしまいました。ハマり始めてから半年ほど経ったころ、自分でも書いてみたいと思うようになりました。どうせなら好きなものについて書きたかったので、「脱出ゲーム」をテーマにしようと思い、スマホにアイデアをメモし始めました。

――どんなメモを取っていたのですか。

三日市さん:メモはほとんど台詞で作っていました。書きたかった作品は少し特殊で、主人公たちが作中で解く謎に読者も挑戦でき、その答えを使うと小説内の事件の謎も解ける、という形式のものです。台詞と簡単な描写をひたすら頭から書きつつ、並行して謎解き問題も作成するような感じでした。最初から最後まで流れができた頃にはメモが4万字ほどになっていたので、21年の年明けごろからパソコンに移して本格的に書き始めました。

――執筆活動は「在宅勤務で暇だから」始めたとのことですが、ご職業は。

三日市さん:通信業の営業企画です。仕事が終わったら社用パソコンを閉じて、小説用パソコンを開いて...。決して業務中に執筆していたわけではありません!誤解がありそうなので、ここは強調させてください。
実際、慣れた仕事でしたし、クリエイティブ系でもないので、頭の切り替えはしやすかったです。
執筆はリモートワーク時の平日であれば夕食を終えて21時ごろから2~3時間。書き出した台詞の間の描写を埋めていく作業が中心です。休日は、締め切りが迫った際には5~6時間ほど書いていたと思います。
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