「中途半端な謝罪」で批判が続く
下矢さんは、米ワーナーが謝罪する前に声明を発した日本法人の初動について、次のように評価する。
「本国との調整による対応遅れを防ぐためにまずは日本法人独自の謝罪を優先したのだと思います。炎上において、初動対応のスピードは延焼を最小限に抑えるうえで極めて重要です。日本法人の現場担当者が置かれた制約のなかでは、初動はできる限りの対応を目指したということではないでしょうか。いずれにしても世界的大企業での広報担当の『苦渋の跡』が感じられます」
一方で米ワーナーの騒動後の対応については、厳しい評価を下す。
「謝罪としてはけっして十分ではないと思います。一般の目に触れない形で謝罪文を発表するのは、興行成績への影響を優先していると考えざるをえないからです」
それでは今回のような騒動があった場合、企業はどのように対応するべきか。下矢さんは次のように述べる。
「謝罪は『そこまで謝らなくても』思うくらいで、ちょうどよいのです。ビッグモーター、日大など謝罪失敗のパターンは『中途半端な謝罪』です。『中途半端な謝罪』によって、延々と批判され続けることになってしまいます。その傾向はSNS時代となって、特に顕著となっています。広報が学ぶべきは『謝罪時は徹底的に謝るほうが結果的にダメージは減る』ということ。そして『徹底した謝罪』こそが『SNS時代にも対応するための策』となっていることだと考えています」