エスカレーターに立ち止まって乗ってたら...後ろから「邪魔だよ」 手足3本失った男の疑問「僕は悪いことをしたのか?」

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ルールを作るなら「必ず立ち止まって乗る」ことに統一するのがベストだと思う

   この体験をして思ったのは、エスカレーターの全国統一ルールを公的に整備した方がいいのではないかということです。「必ず左側に寄って右側は空ける」とか、逆に「必ず右側に寄って左側は空ける」といったようにです。それが浸透すれば地域による違いなども気にしなくて済みます。

   でも安全面を考えると、ルールを作るなら「必ず立ち止まって乗る」ことに統一するのがベストだと思います。先ほどのエピソードで、僕は体をぶつけられることはなかったけど、もし駆け上がってきた人が止まっていた人にぶつかり、倒してしまうようなことがあったら危険です。みんなが2列に並んで止まって乗れば、空けるスペースがなくなる分、多くの人がもっとスムーズに移動できるようにもなるはずです。

   「止まって乗るものだ」というルールが広まれば、前の人にイライラすることもなくなり、みんな気持ち良く乗れるでしょう。そもそもエスカレーターは立ち止まって乗っても十分速いですし、歩かなくても上や下の階にはたどり着けます。歩いても、長くて数十秒しか変わらないのではないかと思います。

   電車の乗り換えのためにエスカレーターで数秒を縮めたい人もいる、という声もあるかもしれません。その点で言うと、僕はこの体になって「走って時間を短縮する」ということができなくなりました。平地では歩くしかないし、階段では一段一段を丁寧に上り下りするしかありません。だから電車移動する際は、電車の時間を調べて、乗りたい電車に確実に間に合うように逆算して、余裕を持って目的地に着けるよう、家を出る時間を決めたり生活リズムを整えたりしています。乗り換えがあっても、移動中の数十秒のために焦る必要がそもそもないようにしています。

   僕は体の関係で自然とこうした考え方になりましたが、メリットがあるのは僕に限らないと思います。それに、東京や大阪の電車だったら大体5~10分に1本は来る。計画的に1本早い電車に乗るなどして余裕を持つことができれば、時間短縮のためにエスカレーターを駆け上がらなくてもいいはずです。できなくて急がざるを得ない人もいるかもしれないけど、それで他のエスカレーター利用者を押しのけるような行動をしていい理由にはならないと思います。

   エスカレーターは「移動スピードを上げるためのもの」というよりは、「誰でも立ち止まったまま、安全で楽に階を上り下りできるもの」だと思っています。「そもそもエスカレーターって何のためのものなんだろう?」と、一度考えてみる機会にできればと思っています。

(構成:J-CASTニュース編集部 青木正典)

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