呪いのコトバ化した親ガチャ...背景に「家族主義」の呪縛 識者「親の負担大きすぎる」と警鐘

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40代を境に受け止め変化

   もっとも親ガチャを巡っては、世代間で受け止め方が異なる傾向にあるという。

「価値観の境目は、ちょうど40代にあります。40代から下は生まれ持ったもので決まると思いがちです。40代から上はそうじゃない。自分が獲得したものによって決まると思っているのです。上は日本社会の成長期を知っている世代です。下は日本が平坦になってから思春期を迎えた世代です」

   40代以前でも評価が分かれる場合があり、「10代~30代の中でも反発を覚える人もいます。それは恵まれている人です。自分の人生は自らの努力でつかみ取ったと思っている。家庭環境が恵まれていたはずですが、なかなかそこに目がいかない。その環境が当然と思っているのです」と説明する。

   親ガチャは社会の断絶をあぶり出し、対立を煽る面もあるが、土井氏は言葉の普及による意義もあったとみる。

「今生きづらいのは私の責任じゃないよね。自己責任ではないんだと思える。かっこ付きですけど、ある意味で救いになるのかもしれないですよね。そういう見方を提供してくれた面はあるかもしれない」
「加えて、親ガチャに反発する人たちは今の格差状況がわかっていなかったわけです。しかし、この言葉が広まったことで、『今これほど格差が開き、固定化している』という意見や認識が広まってきたので、そういう意味では良かったともいえる。格差はなかなか個人の努力では乗り越えがたい。例えば教育格差は、勉強の努力が足りないからではなく、そもそも教育格差の前提となっている体験格差があるわけです。そうした点に注目が集まりだしています」

   教育支援に取り組む公益社団法人チャンス・フォー・チルドレンの調査(23年7月公表)では、世帯年収300万円未満の家庭の子どもの29.9%が、1年間に学校外の体験活動を何もしていなかった。600万以上の家庭の子どもと比べて2.6倍高い。同法人は「貧困の世代間連鎖の経路の一つに『体験格差』があるという仮説が考えられる」と提言している。

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