意見に対する田野井教授の見解は
取材に応じた田野井教授は「性別で採用を決めるのは差別」などとする意見に対して、
「『男女共同参画社会基本法第二条第二号』ほか同法第八条などに法的根拠があり、『女性差別撤廃条約第四条』に、『差別と解してはならない。』とある点などを参照しております。男女比が通常の団体においては性別で採用を決めるのは差別にあたることもありますが、東京大学の教員には男女比に著しく格差がありますので、女性限定公募などで女性を積極的に雇用するという是正を行うことが妥当であると考えられます」
とした。東京大学が公開している「UTokyo Compass モニタリング指標」によると、2022年5月時点での女性比率は、教授9.2%、准教授15.5%、学生24.0%となっている。
面接で子育てについて質問されるなど、女性研究者のキャリア形成の難しさについて触れたコメントもあった。こうした意見に対しては、「採用時などに男性には聞かない質問を女性にのみ聞いてしまうなどのバイアスはアカデミアに存在していると思います」とした上で、「男女共同参画室では、採用担当者が目を通す人事選考のための『無意識のバイアス』確認シートというものを作成するなどして、意識啓発に努めています」と対策に努めている旨を説明した。
「ライフイベントや子育てを抱えながらアカデミアでキャリアを進めていくのは本当に大変だと思います。東京大学では、ライフイベント(出産、育児、介護等)により研究活動を中断した研究者に対して、円滑に研究活動に復帰できるよう支援し、多様な研究環境を実現することを目的として、研究費を支援する『リスタートアップ研究費支援』などの金銭的支援を設けています。また、男女共同参画室では、現在キャリアを進める上でのスキルを身につけるようなプログラムを実施しようと考えています」