母子手帳「お父さんも育児を」に批判「母親主体が前提?」 こども家庭庁「誤解生じうる」...サイト掲載内容見直し

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   「お母さんがお父さんに赤ちゃんを任せて外出できるようになると、お母さんも助かります」──。

   こども家庭庁のウェブサイト「母子健康手帳情報支援サイト」をはじめ、一部地域の母子手帳に育児の心得のひとつとして記された「お父さんも育児を」という項目が、X(ツイッター)で物議を醸している。

   こども家庭庁は2023年8月10日、「父親が育児において従たる立場かのように誤解を生じうる記載であり、いただいたご批判は真摯に受け止めております」と取材に答えた。掲載内容を見直したという。

  • 母子健康手帳情報支援サイトより
    母子健康手帳情報支援サイトより
  • 既に削除された項目「お父さんも育児を」(母子健康手帳情報支援サイトのアーカイブより)
    既に削除された項目「お父さんも育児を」(母子健康手帳情報支援サイトのアーカイブより)
  • 母子健康手帳情報支援サイトより
  • 既に削除された項目「お父さんも育児を」(母子健康手帳情報支援サイトのアーカイブより)

「お父さんも赤ちゃんとスキンシップをしっかりもち...」

   発端となった投稿は7月末。東京都のある区の母子手帳に、1歳までの乳児期に関する育児の心得のひとつとして、「お父さんも育児を」と伝える下記の項目があったという。

「お父さんも赤ちゃんとスキンシップをしっかりもち、おむつを替えたり、お風呂に入れたり、できることから始めましょう。お母さんがお父さんに赤ちゃんを任せて外出できるようになると、お母さんも助かります」

   投稿は、育児の主体を母とするような考えが発信されている、というように問題提起する内容だった。Xでは「なんでお母さんが主体なこと前提?」「母乳をあげること以外、父親も母親もやれることは変わらない」などの声が上がっている。

   同じ内容を母子手帳に採用している地域が他にもあると情報が出たうえ、こども家庭庁のウェブサイト「母子健康手帳情報支援サイト」でも当該文章は確認できた。サイト内ページの「育児のしおり」にある。

   こども家庭庁・母子保健課は8月10日、J-CASTニュースの取材に、母子健康手帳情報支援サイトに掲載されている情報は、関係省庁と関係部局や関係団体の意見をふまえ、同課が取りまとめて作成したものだと答えた。

   「お父さんも育児を」に関しては、12年1月13日付の通知で任意記載事項様式として示していた。これを各自治体が参考にし、母子手帳を作成しているという。母子手帳は母子保健法に基づく「省令様式」と各自治体による「任意様式」で構成されている。

「ご批判は真摯に受け止めております」

   当該項目を設けた経緯としては、まず、厚生労働省で11年に開催された母子手帳に関する検討会の報告書において、

「父親が母子の健康について理解を深め、乳幼児期から子育てに積極的に関わっていくために母子健康手帳を活用するという視点も重要である」

と取りまとめられたとする。また、現在も日本では6歳未満の子どもを持つ夫の1日当たりの家事・育児関連時間が「2時間程度と国際的に見て低水準」とし、これらをふまえ、次のように述べた。

「そういったところから、父親の家事・育児関連時間を増やしていくことを意図して、引き続き修正せずに該当部分を掲載していたものですが、父親が育児において従たる立場かのように誤解を生じうる記載であり、いただいたご批判は真摯に受け止めております」

   一方、下記のような方針を示した。

「本年6月に取りまとめられた『こども未来戦略方針』において共働き・共育ての推進を掲げている通り、子育ては夫婦2人で担うものという認識のもと、共働き・共育ての推進等により、子どもを育てながら夫婦各々のキャリアや趣味など、人生の幅を狭めることなく、夢を追いかけられるような社会の実現を目指しております」

   そのうえで、「こうした事が正しく伝えられるよう、母子健康手帳情報支援サイトの掲載内容を見直しさせていただきました」と明かす。

「お父さんも育児を」は削除、「共に子育てを」新項目も

   実際に公式サイトは9日に一部内容が更新されていた。

   最新版の育児のしおりからは「お父さんも育児を」という項目が削除されている。ほか、これまで文書冒頭に記載されていた「お父さんの役割」という下記の項目がなくなった。

「子育ては、お父さんとお母さんがよく話し、二人が主体的に育てていくという意識を持つことが大切です。お父さんもおむつを替えたり、お風呂に入れたり、あやしたりなど、積極的に子育てに参加しましょう。また、お母さんを独りぼっちにせず、精神的に支え、いたわることもお父さんの大切な役割です」

   同じ箇所には、新たに「共に子育てを」という下記の文章が設けられている。

「日本は、国際的に見ても、父親の家事・育児関連時間は低水準にあります。お父さんとお母さんがよく話し、二人で協力しあって育てていくという意識を持つことが大切です」
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