「入籍=結婚」イメージなぜ定着?羽生結弦発表で注目 厳密には違う意味だが...弁護士に聞いた背景

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「結婚した際に『入籍しました』といっても特段問題はない」

   では、「入籍」を「結婚」の意味で使うのは誤りなのか。正木弁護士は、一度も結婚したことがない人は親の戸籍に入っていることが一般的で、「婚姻届」を出してこれまでの戸籍から除籍し、2人だけの新しい戸籍を作ることが今日ではほとんどだという。

「正確に言えば二人で新しい戸籍を作る結婚は、『入籍』ではありません。しかし現代の日本では、『結婚=入籍』という概念が浸透していますし、未婚の方から『入籍しました』という報告を受けて『結婚した』以外の発想をする方は少ないのではないかと思います。言葉の持つ意味とは、一般的にどういう意味として理解されるかが重要なのですから、結婚した際に『入籍しました』といっても特段問題はないでしょう」

   いつから、なぜ「入籍」を「結婚」の意味で使うようになったのか尋ねると、「日本古来の家父長制度が影響しているといわれています」とした。正木弁護士によると、家父長制度とは「明治民法に定められた家族制度で、『家』を単位として一つの戸籍を作り、その長である家長に強い権限を与えていた制度」だ。当時は「家」を存続させることが一番重要なことで、女性は結婚すると男性の「家」である戸籍に入籍するのが一般的だったという。

「そのため『入籍しました』という言葉に結婚の意味が含まれていたといいます。こうした名残が現代の日本にも浸透しているのではないでしょうか。有名人がマスコミに結婚発表する際に『入籍しました』という言葉を使うところをよく目にしますので、そんな事情も、現代においても『入籍=結婚』のイメージを定着させているのかと思います」

   羽生さんが「結婚」の意味で「入籍」と表現したことにはどのような意義があるか尋ねると、次のように話す。

「羽生結弦さんは、競技者として活躍されていた時代から、非常に礼儀正しく周囲に気を使われる方として有名です。時折お召しになる羽織袴がお似合いになるように古典的とも古風とも思える面もお持ちかもしれません。また、羽生さんは常にご自身のファンの気持ちを大切にされる方とも聞いております。
そのような羽生さんですから、これからお相手の方と一つの家族としてしっかり歩んでいくという決意を少し古風なたった一言のメッセージで伝えてくださったように感じます。なにより『結婚』を心より祝いながらも『結婚』に少なからぬショックを受け倒れそうになっているファンの気持ちを気遣われたのかもしれません。
真相はわかりませんが、近年まれにみる素晴らしいご結婚報告であったと思います」
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