高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ
台湾での麻生太郎氏「戦う覚悟」発言を「高く評価したい」 抑止論で考える中国へのメッセージ

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   自民党の麻生太郎副総裁が2023年8月7日、台湾を訪問し、8日には蔡英文総統と総督府で会談した。麻生氏は同日、講演において台湾有事を念頭に「日本、台湾、米国をはじめとした有志国は強い抑止力を機能させる覚悟が求められている。戦う覚悟だ」と述べた。

   麻生氏の訪台に対し、中国は反発した。中国外務省の報道官は7日、「断固反対で、強く非難する」と抗議した。さらに、台湾国防部は、中国軍の戦闘機「殲16」や「殲10」など延べ24機が、7日午前6時(日本時間同7時)までの24時間に台湾周辺で活動したと発表した。

   国内においても、立憲民主党の岡田克也幹事長は8日、麻生氏の講演発言を軽率であると批判した。共産党の小池晃書記局長も8日、極めて挑発的な発言と非難した。

  • 麻生太郎・自民党副総裁
    麻生太郎・自民党副総裁
  • 蔡英文氏のツイッター(現X、@iingwen)より
    蔡英文氏のツイッター(現X、@iingwen)より
  • 麻生太郎・自民党副総裁
  • 蔡英文氏のツイッター(現X、@iingwen)より

麻生氏発言を抑止論から考えてみる

   今回の麻生氏の訪台、発言を抑止論から考えてみよう。抑止論は反撃を恐れさせることで攻撃を思いとどまらせるという理論。2005年のノーベル経済学賞を受賞したトーマス・シェリングは、ゲーム理論の現実社会への応用分析が評価されたが、そのキモは、互いに相手の出方を考えながらそれぞれの行動が変わりうるというものだ。そこで国家対国家で考えると抑止論も入ってくる。実際、トーマス・シェリングは1960年の『紛争の戦略』でそのオリジナルの萌芽がある。

   冷戦下で重要とされた重要な核戦略に自動反撃機能がある。これは、相手が核を発射したらこちらから核を自動発射するということにすれば、共倒れとなるので米ソ両国は先制攻撃を控えるとなる。

   この応用問題で、核保有国と非保有国なら、保有国が脅せば非保有国はなすすべがないばかりか、窮地に陥った非保有国を助けようとする核保有国もうかつに手出しができなくなる。まさに、今のロシア、ウクライナ、アメリカの関係そのものだ。

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