X(旧ツイッター)で収入を得たという投稿が相次いでいる。話題になったのは、X社が獲得した広告収益を、基準を満たしたユーザーに分配する「クリエイター広告収益配分プログラム」だ。
実際に収入を得たとするインフルエンサーの一人は2023年8月9日、取材に対し「お金のためにやってるんじゃないかと思われそうで、なんだかツイートがしづらくなりました」などと複雑な心境を明かす。
呟いてるだけで暮らせる?
実業家の西村博之(ひろゆき)氏をはじめとしたXユーザーたちが8日ごろから、Xを通じて広告収入を得たと報告している。ひろゆき氏は約36万6000円の収益があったとして、「Twitterで呟いてるだけで暮らせる人が出てきそうですな、、、」と述べている。他のユーザーからは、「ツイートするだけでこんなに稼げるとは、、、」などと驚く声が寄せられている。
クリエイター広告収益配分プログラムは、7月29日に導入された。Xで表示される広告で得た収入を、基準を満たしたユーザーに分配するという。利用するには、有料サブスクリプションサービス「X Premium」もしくは公式認証アカウント「Verified Organizations」に登録し、500人以上のフォロワーと、過去3か月の累計投稿で少なくとも1500万インプレッション(表示回数)を獲得する必要がある。
運営する米X社のイーロン・マスク氏は2月から、同プログラムの開始を告知していた。7月中旬には、2月から累積した収益を支払うと述べていた。
J-CASTニュースは実際に収益を獲得したと明かすXユーザー3人に取材した。
今まで通りの損得なし忖度なしのツイートが減ってしまう?
取材に対し、「ちいかわおじさん(本物)」というハンドルネームで活躍するXユーザーは、マスク氏の告知をきっかけにプログラムを知った述べる。「どうせ巨大インフルエンサーに分配が偏り1000円程度しか分配されないだろう」とは思いながらも、「やらないよりやってみよう」と考え登録した。
8日午前10時ごろ、約1万3000円(91米ドル)が振り込まれたと明かした。フォロワー数は約9000人で、7月のインプレッションは約1110万回、8月のインプレッションは約341万回だった。
約3万9000人のフォロワーを抱えるXユーザーのどんさんは、「日本円で28万も貰えてました」と明かした。本業による十分な収益があるため「趣味でやってるTwitterでお金稼ぎをするつもりは一切なかった」としつつも、「ただ遊んでるだけで勝手に貰えるなら貰っとこう」と考え、プログラムに参加した。
月間インプレッションは「月4000万から1億2000万の間」だという。日ごろは育児など日常のエピソードを投稿している。獲得した収益は28万157円だったとして、次のように受け止める。
「月に数千円や数万円でも生活の足しになるのであれば、その他のマネタイズと比べて敷居が低く、多くの方が恩恵を受けられる良いシステムだと思います。
それと同時に、楽しんでいただけのSNSがお金を得る方法に変化してしまう人が増えると、今まで通りの損得なし忖度なしのツイートが減ってしまい全体的に尖った面白さが減る可能性を懸念しています」
匿名で取材に応じたあるXユーザーは、「収益化の条件をクリアしたということで案内がきた一瞬だけ嬉しかった」と明かす。一方で「イーロン・マスクの気まぐれですぐに終了するんだろうな」などと、あまり期待していなかった。実際に収入を獲得後は、次のように感じているという。
「みんなで仲良く草野球を楽しんでたのに、急にプロを目指せと言われているような居心地の悪さを感じます。お金のためにやってるんじゃないかと思われそうで、なんだかツイートがしづらくなりました」