麻生氏の「戦う覚悟」発言、台湾メディアは「ONE PIECE」に注目 「ルフィは友人を裏切らない」

   自民党の麻生太郎副総裁が2023年8月8日に台湾・台北市内で行った講演で、いわゆる「台湾有事」について、日本、台湾、米国による抑止力の重要性を強調した上で「戦う覚悟」に言及した。

   これは台湾メディアも大きく報じたが、それ以外に現地で注目されたのは、麻生氏がたびたび言及した人気漫画「ONE　PIECE（ワンピース）」の話題だ。主人公のルフィが長い時間をかけて仲間を増やし、その間仲間を裏切らなかったことを引き合いに「（日本と台湾は）確実に人間関係を積み上げて、ここまで来れた」などと述べた。

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  自民党の麻生太郎副総裁（左）は台湾の蔡英文総統（右）。中国は両者の会談も批判している（写真は台湾総統府のウェブサイトから）

ルフィは「1回の裏切りもなく、1回の買収工作もなく...」

   麻生氏は講演の中で、台湾有事について

「今ほど日本、台湾、アメリカをはじめとした有志の国々に非常に強い抑止力というものを機能させる覚悟が求められている、こんな時代はないのではないか。戦う覚悟だ」

「いざとなったら使う。台湾の防衛のために、台湾環境の安定のためにそれ（防衛力）を使うという意思、明確な意思を相手に伝えて、それが抑止力になる」

などと発言。講演以外でも、たびたび台湾有事に言及した。

   この日行われた頼清徳副総統との会談で、台湾には2万人以上の在留邦人がいる事に触れ、

「もしここで戦端が開かれるということになった場合は、それらの在留邦人を脱出、救出させねばならないということになるので、台湾の平和、もしくはセキュリティというものは我々日本人にとって極めて大きな要素を持っている」

と述べた。ONE　PIECEについては次のように述べた。

「1回の裏切りもなく、1回の買収工作もなく、長い時間をかけて、ルフィは1人ずつ仲間を増やして、非常に大きな勢力になっていった、というのがストーリーの流れ。ぜひそういった意味で、日台関係もいろいろなことがあったが、確実に人間関係を積み上げて、ここまで来れたんだというように思っている」

「漫画『ONE PIECE』から見る台日関係　麻生：ルフィは友人を裏切らなかった」

   その後行われた蔡英文総統との会談でも、ルフィが「大きなグループのリーダーとして、確実な力を示した」として、

「ぜひ台湾と日本との関係も、きちっとした人間関係が出来上がって、その人間関係がこの日台の間をずっとこれまで長きにわたって引き継いできたと思っている。互い困ったときは助け合う、そして良いときはお互い喜びも分かち合う、そういう日台関係であり続けていきたい」

と述べた。

   4大紙のひとつ「聯合報」は、8月9日付け紙面の1面2番手の項目に麻生氏の話題を掲載。「米国、日本、台湾は戦争に備えなければならない」の見出しで講演の内容を伝え、「ONE PIECEのルフィ：友人裏切ったことない」の見出しでONE　PIECEの話題を紹介した。

   4大紙「自由時報」はウェブサイトで「漫画『ONE PIECE』から見る台日関係　麻生：ルフィは友人を裏切らなかった」、台湾当局が運営する通信社・中央通訊社（中央社）は、「麻生太郎：ルフィは友人を裏切らない、台日関係の発展を望む」の見出しで発言を報じた。

   蔡氏はX（旧ツイッター）で、日本語で麻生氏の発言を紹介し、

「私たちも、そのような台日関係が末永く続くよう取り組んでいきたいと思っています」

とつづった。

   麻生氏は13年のニコニコ動画の番組でONE PIECEを愛読していることを明かしているほか、15年には資金管理団体「素淮会」が1～25巻の中古品セットを政治資金で購入していたことが発覚。「やっぱりデタラメな使い方をしていた」（日刊ゲンダイ）と批判されていた。

（J-CASTニュース編集部　工藤博司）