「多くの共産党員が戸惑っている」 志位氏は規約を無視?除名の元党員が正当性訴え

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   共産党で党首公選を行うように求める書籍を出版したことなどが原因で、規約上最も重い「除名」の処分を受けた松竹伸幸氏(68)が2023年8月9日に都内で記者会見し、24年1月にも行われる党大会が招集され次第、処分の再審査を求めることを明らかにした。

   会見は8月10日に新著「不破哲三氏への手紙──日本共産党をあなたが夢見た21世紀型に」(宝島社新書)を出版することを受けて開かれた。著書では、不破哲三元議長が改訂を主導した現行規約の精神は、松竹氏が唱えた党改革の方向性と合致していると主張している。一方で、除名されてからの半年で、共産党では「旧規約への先祖返りみたいな方針が非常に強く打ち出されてきている」ことで「多くの共産党員が戸惑っている」とも指摘した。党大会に向けてウェブサイト(http://www.matutake-nobuyuki.com/)やユーチューブのチャンネルを開設して情報発信を強化し、自らの正当性を広く訴えていきたい考えだ。

  • 記者会見する元共産党員の松竹伸幸氏。24年1月にも行われる除名処分について再審査を求める考えだ
    記者会見する元共産党員の松竹伸幸氏。24年1月にも行われる除名処分について再審査を求める考えだ
  • 記者会見する元共産党員の松竹伸幸氏。24年1月にも行われる除名処分について再審査を求める考えだ

「階級闘争」盛り込んだ旧規約に先祖返りで「多くの共産党員が戸惑っている」

   松竹氏は23年1月19日に「シン・日本共産党宣言──ヒラ党員が党首公選を求め立候補する理由」(文春新書)を出版し、わずか2週間後の2月6日に除名処分を受けた。それから半年後の新著出版だ。松竹氏によると、「自分の人生のなかで一番綱領と規約を勉強したのが、この半年」だ。共産党は00年に党規約を全面的に改訂し、かつての規約にあった「前衛政党」「階級闘争」といった用語はすでに姿を消した。さらに、

「決定にたいしては、少数は多数にしたがい、下級は上級にしたがい、積極的にこれを実行しなくてはならない」

という上下関係を明示した文言もなくなった。松竹氏は

「新しい規約に基づけば、もっと自由で民主主義的で、国民から見ても本当に近い存在に共産党はなれるはず」

だと話した。ただ、この半年については「旧規約への先祖返りみたいな方針が非常に強く打ち出されてきている」。これは、志位和夫委員長は6月25日の第8回中央委員会総会(8中総)で、

「わが党がかくも攻撃されるのは、端的に言えば、日本共産党が革命政党であるからだ」

などと、党への批判に対して「革命政党」といった用語を使いながら反論したことを念頭に置いている。

   松竹氏は、この現状で「多くの共産党員が戸惑っているという現状がある」ため、「新しい規約の生命力というか、真髄はこうなんだよ、ということを共産党には伝えたい」と話した。

党改革を公然と議論した人が「除籍された事例は、私も何例か知っている」

   松竹氏の除名後も、23年3月に京都府委員会常任委員などを歴任した鈴木元氏が除名処分を受け、6月には南あわじ市議会議員の蛭子智彦氏が除籍されている。松竹氏によると、松竹氏を含む3人はあくまで「目立つところ」で、

「例えば共産党を改革したいということを表だって議論したような人たちが除籍された事例は、私も何例か知っている」

とも指摘した。

   今後の焦点は再審査に向けた取り組みだ。規約第55条には

「被除名者が処分に不服な場合は、中央委員会および党大会に再審査をもとめることができる」

とある。党大会は11月頃に招集される見通しで、招集され次第再審査請求書を提出することにしている。(1)除名に向けた手続きに瑕疵がある(2)松竹氏が綱領や規約に違反した事実はない、の2点を軸に主張していくという。

   松竹氏は党が保有している個人情報開示請求を行っている。請求対象は

「党員の処分に関する規約の運用マニュアル(私に対する処分について、いかなる理由に基づいてどのような処分基準の適用によって除名処分が選択されたのかが分かる資料」
「規約の運用マニュアルに関して、党規約第55条が定める被除名者による『再審査の求め』に関する手続が分かる資料」

など。5月15日付けの党からの回答によれば、前者については

「『運用マニュアル』なるものについては、個人情報に該当しないので、その有無を含めて回答の必要はないものと考えます」

と回答を拒否し、後者については

「『再審査の求め』に関しても個人情報に該当しませんが、除名に関しての再審査については、被除名者がいかなる書式で提出しようと再審査の対象になることは申し添えておきます」

と回答した。つまり、再審査のプロセスや判断基準は明らかにされていない。ただ、松竹氏は後者の回答を理由に、

「どんな形式になるかは別にして、来年1月の党大会で再審査が行われることは確実」

だとみている。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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