痛すぎる一敗だ。
巨人が首位・阪神を本拠地・東京ドームで迎えた2023年8月8日の1戦目。先発した菅野智之が3回途中7安打5失点KOと期待を裏切った。序盤の大量失点が響き、追い上げ及ばず6-7で敗戦。阪神とのゲーム差は9に。同一カード3連勝して差を縮めたいところだったが、阪神の背中がさらに遠のいた。
「短いイニングを全力で投げた方が...」
立ち上がりから不安定だった。初回に4番・大山悠輔に先制の中前適時打を浴びると、2回も中野拓夢に右前適時打で2点目と立ち直る兆しが見られない。さらに、3回2死一、三塁のピンチで投手の西純矢に中前適時打を許すと、原辰徳監督が厳しい表情で一塁側ベンチを出て、投手交代を伝えた。
右肘の張りで出遅れた菅野は6月中旬に1軍昇格。復帰以降は安定した投球を続けていたが、7月17日のヤクルト戦(神宮)では初回に1死を取っただけで6失点の自己最短KO。わずか17球でマウンドを降りる屈辱だった。
今回も3回途中で降板と先発の役割を果たせず。好不調の波が激しいため、計算ができない。試合終盤まで常時投げていた全盛期の面影はない。
スポーツ紙デスクは、
「菅野は直球が走らないと、変化球との緩急差がなくなるのでめった打ちを食らう。短いイニングを全力で投げた方が力を発揮できるのではないか。大勢が右上肢のコンディション不良で戦列を離れており、救援事情が苦しいことを考えると中継ぎに配置転換することも検討の余地があると思います」
と提言する。
入団以来先発ローテーションで稼働してきた菅野はプロ11年間で通算246試合登板のうち、救援登板はわずか2試合しかない。先発で輝きを取り戻すか、救援で新境地を開くか。絶対的なエースの信頼感はない。負けられない試合が続く中、復活してもらわなければ困る投手だ。(中町顕吾)