映画「バービー(Barbie)」をめぐる原爆を絡めたファンアートに関する騒動が尾を引いている。2023年8月1日に、配給会社の米ワーナー・ブラザースが一連の騒動について謝罪したと報じられた後も、SNSでは「許せない」「バービー絶対見たくない」などの声が寄せられている。
メディア向け声明は「全然正式謝罪じゃないよ」
騒動の発端となったのは、バービー人形を実写化した映画「バービー」と、原子爆弾を開発した物理学者を描いた映画「オッペンハイマー」を組み合わせたファンアートだ。笑顔のバービーとともにピンク色のきのこ雲をコラージュした画像などが投稿された。「バービー」公式SNSアカウントが原爆を連想させるファンアートに好意的とも取れる反応を寄せたことで物議を醸した。
一連の対応に疑問を呈する声が7月末に上がり、日本語で批判の声が広がった。これを受け、日本の配給元であるワーナーブラザースジャパン合同会社は、ツイッター(現X)で謝罪。アメリカ本国の映画公式ツイッターアカウントの対応を非難し、対応を求めていると発表した。
8月1日、配給会社の米ワーナー・ブラザースがメディア向けに「無神経なSNSへの投稿を遺憾に思う。心から謝罪します」とする声明を出したなどと報じられた。ただし、米ワーナー・ブラザースや映画「バービー」の公式サイト、そのほかSNSなどでの謝罪は4日現在までに掲載を確認できなかった。
映画公式SNSの問題視された投稿のうち、「忘れられない夏になる」といった一部コメントは削除されたものの、爆風を背に笑顔で車を走らせるバービーのコラージュに送った「私たちはいつもピンクのことを考えています」というコメントは残されたままだ。
ツイッターでは「全然正式謝罪じゃないよ」「ここまで批判されても未だ原爆を茶化す広報ツイートを削除していないとはすごく悲しい」などと嘆く声が寄せられた。
騒動によってSNSでの評価が一変
今回の騒動をツイッターユーザーはどう受け止めたのか。SNS分析ツール「ソーシャルインサイト」で、「バービー」を含む日本語ツイートを分析した。
アメリカで公開された7月21日から騒動になる30日までは、全1万5372件のツイートがあり、ポジティブが25.8%、ネガティブが5.79%だった。頻出する形容詞は「面白い」「可愛い」などと好意的だった。
しかし7月31日から8月4日までの全5万6507件のツイートを分析すると、ポジティブが14.27%に落ち込み、ネガティブがそれを上回る18.2%に変動した。頻出する形容詞は「悲しい」「悪い」に変わった。
ツイッターでは、米国のラーム・エマニュエル駐日大使が2日、騒動に触れずに「バービー」を褒めたたえた際にも、批判の声が広がった。日本語で「その前に言うことがあるだろ」「手放しで礼賛する状況ではないのでは?」「わざと日本人を挑発してるのか?」などの声が寄せられている。